アメリカでは、日本では比べものにならない程太った人が目につきます。一方、ヘルス・コンシャスと呼ばれる健康おたく的な人も存在します。その代表がベジタリアン。日本でも若い女性を中心にベジタリアンと呼ばれる人たちがジワジワ増えています。 　 　ハワイに栄養調査に行った時、ベジタリアンの実態についてインタビューしました。彼らは本当に野菜好き。青臭いジュースを大きなコップで平気でゴクゴク飲み干します。それは、日本の青汁がとても飲みやすく感じられる程の味で、そんなジュースをおいしそうに飲む姿には驚きました。 　私は、ベジタリアンというと、野菜や豆類などの植物性のものしか食べないというイメージでしたが、大半のベジタリアンたちは、肉は食べないけれど、乳製品や卵は食べるそうです。また、自称ベジタリアンという人の中には、鶏肉は食べるという人もいました。鶏肉は皮をとればヘルシーだし、「あれは肉とは言わないよ」とのことです。 　なんだかベジタリアンという呼び名に反するような気もしますが、植物性食品しかとらない場合に起こる栄養不良の心配もないため、身体にはむしろいいことでしょう。また、彼らの顔は満足げで、自分のヘルシーな生き方に自信を持ち、心身ともに健康といった感じでした。 　さて、日本のベジタリアンたちはどうかというと、こちらはその名の通り植物性食品しかとらない人多いようです。このため、あらゆる栄養素が不足します。とくに、不足が著しいのは、ビタミンＢ12。ビタミンＢ12は、卵、乳製品、肉、貝類などに豊富で植物性食品にはほとんど含まれていません。このため、本当の意味でのベジタリアンの人たちは、ビタミンＢ12が不足してしまいます。 　ビタミンＢ12は、赤血球が作られる過程にかかわっているため、不足すると悪性貧血になることもあります。悪性貧血は、赤血球の量が充分作られず、そのサイズが肥大化するというもので、動悸、手足の麻痺、食欲減退、体力減退、神経過敏 などの症状が起きてきます。 　そこで、植物性食品しか食べない日本のベジタリアンたちには、すべての栄養素が入ったマルチとビタミンＢ12のサプリメントがおすすめです。しかし、サプリメントはあくまで補助的なもの。植物性食品だけの食生活を一生続けるのは危険です。動物性食品もとるようにしましょう。 　野菜は身体にいいものですが、それだけ食べていれば十分というものではありません。植物性食品にも動物性食品にもそれぞれのよさがあります。いろいろな食品を少しずつ食べるというのが最もヘルシーな方法ではないでしょうか。 ---2000.8.26　(c) 2000 by Mari Wakasugi ---