仕事帰りにちょっと1杯のつもりが、つまみを食べながら、ちびちびと飲酒。ほろ酔い気分で店をあとにして、駅に向かう途中に、なにか物足りなくて、ラーメン屋ののれんをくぐってしまうことはよくあること。
ラーメンを食べると、カロリーオーバーと知りつつ、残すなんてもったいない!ぺろりと平らげて、後悔する・・という経験は誰しもあるのではないでしょうか?
「お酒だけで、ちゃんとご飯を食べたわけでもないから、ラーメン1杯くらいいいんじゃないか」と思いがちです。しかし、この1杯が、肥満への第一歩。その先には、様々な生活習慣病のリスクも待っています。
■なぜ、お酒を飲むとラーメンを食べたくなる?
では、なぜ、お酒を飲むと人はラーメンを食べたくなるのでしょうか。
人間は食事をすると食べたものが分解されて血糖が増え、その信号が脳に送られて満腹だと感じます。食後しばらくたって血糖が減ってくると食欲が湧いてきます。つまり、血糖の増減で、満腹と空腹の感覚が切り替わります。
飲酒でアルコールが体内に入ると肝臓で分解され、アセトアルデヒドという物質ができ、やがて水と炭酸ガスに分解されますが、肝臓がアルコールを分解するときに血中グルコース、つまり血糖を消費してしまいます。そのため、本当は空腹ではないはずなのに、血糖が消費されるために食欲が出てきてしまうのです。
飲酒後の食欲を満たすには別にラーメンでなくてもいいのではと感じますが、アルコールが入った後では味覚が鈍くなっていて、うどんやそばなどのあっさりした味のものよりも、味が濃く脂の多いこってりしたラーメンに魅かれてしまうのです。
■高カロリー+脂肪と塩分の摂りすぎ
飲酒前には、何も食べず、空腹の場合も多く、「飲みながら、おつまみを少ししかつまんでないから、大したことはない」と思っていても実際には結構食べているものです。
おつまみには、肉類、唐揚げやフライなど脂っこいものや、味が濃く塩分も高めのものが多いうえに、アルコールは食欲を高めるので、通常の食事よりはるかにたくさん食べている可能性大。
それに、ラーメンのカロリーは、あっさり醤油ラーメンで約450kcal、味噌やとんこつとなれば約550kcal、背脂たっぷりスープや坦々麺、チャーシュー麺になればそれ以上になります。
一般的な成人の1日の摂取カロリーの目安は、だいたい1800kcal〜2200kcal前後。一方、ビール中ジョッキ2杯で約500kcal、焼酎は2杯で約550kcalなので、飲酒後にラーメンを食べると、通常の2日分やそれ以上のカロリーを摂っていることにもなりかねません。
そのうえ、ラーメンのスープは脂肪と塩分が多め。日本人の望ましい1日の塩分の摂取量は約10gですが、インスタントラーメン1杯でも塩分約6gが入っていますから、屋台のラーメンはそれ以上入っている可能性大。「ラーメンを食べるときにスープは残したほうがいい」というのはそのためです。
■生活習慣病の元
飲酒後のラーメンは、昼食のラーメンとは違い、健康によくない要因がダブル、トリプルでのしかかってきます。
カロリーが多いと肥満、塩分高めだと高血圧、脂っこいものが多いと高コレステロール、高脂血症などの生活習慣病になりやすく、ドロドロ血の果てには血栓や動脈硬化、心筋梗塞など恐ろしい病気のリスクが高まります。
アルコールは、肝臓内において他の栄養素よりも優先的に代謝されるため、飲酒後のラーメンは、ラーメンの主成分である糖質の代謝が遅れ、肝臓内に脂肪となってため込まれやすくなります。これが繰り返されると、やがて脂肪肝に。
また飲酒量が多いとラーメンの消化がかなり遅れますし、夜遅くに食べるわけですから、消化不良による胃もたれやむかつきなどの不快症状を起こしたり、二日酔いの症状を悪化させたり、胃腸への負担がかかります。
■ラーメンの代わりに
健康にとっていいことなしの「飲酒後のラーメン」は、止めるのが最善の選択。しかし、そう簡単には止められない人は、うどんやそばに切り替えるだけでも、カロリーや塩分の摂取がぐんと減ります。スープを濃い目のだしにしたり梅干しを入れることで、塩分の頼りなさはカバーできます。
また、水分をとると満腹感が得られるので、ミネストローネやクラムチャウダーなどのスープやみそ汁もおすすめです。