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年収が多いだけで本当に幸せか

08.23.2011 · Posted in view

少しでも給料が高い仕事を探すけれど、仕事の中身とのバランスは、どこまで考えてるんだろう、とよく考える。就活をする学生が、年収で会社を選ぶというのもよく聴くが、仕事が楽で年収がいいところを選んだつもりでも、会社に入ってみないと、そんなことはわからない。給料が高いということは、それなりに大変な仕事なわけだし、同じような仕事でも、会社によって組織も風潮も作法も違うので大変かどうかはわからない。そこそこ名の知れた会社なら、桁はずれに大変なことはしないだろう、なんて考えるのは甘い。

8月18日のロフトプラスワン(「自由すぎる報道座談会6「報道災害【原発編】事実を伝えないメディアの大罪 発売記念」)で、元朝日新聞社の記者で、現在フリージャーナリストの烏賀陽弘道さんが、朝日新聞の内情を話していた。

「早期退職優遇制度で辞めた友人から聞いた話、600万円を10年間もらえて、そのうえに普通の退職金ももらえる。自分のように休日もなく、あくせく働いて年収300万円以下の人間は、賤民?下民? 朝日のなかで一番金持ちは、社内結婚の”ダブル朝日インカムノーキッズ”。年収1300万円×2名で2600万円!
でも今、朝日新聞の売上は落ちる一方、仕事も激務でリストラも激しく、うつや自殺も多い。自分が知っている編集長クラスが3名も自殺。リストラ促進のために、社内アドレスで私的なメールを送っただの、出張費を改ざんしただの身内同士で粗探ししてリストラに追い込む。自分も何人かリストラに追い込んだけれど、記者をやってる人間がそんなことやりたいはずがない。そんなことをするために新聞社にいるわけじゃない。いい記事を書きたいと思っているのに、そんな仕事をやらされたらおかしくなっても当たり前。

それに比べたら、今は朝日を辞めて、年収300万円だが、カエルのぬいぐるみと遊んで好き勝手言ってるほうがいい。この年収の1000万円の差額は、うつや病気になったときの慰謝料だな」(この番組は、マスメディアの原発報道のひどさが中心なのですが、その合間にこのなような趣旨のことを話してました。)

不況に震災で、日本経済も、あまり明るい話を聞かない。就活は悲惨で、この時期の大学生は、どうしてこんな目にあわなきゃいけないんだ、と思うだろう。先行きの不安感ばかりで、まともに将来について考えると暗くなる…のが当たり前のような風潮だ。そこそこの年収を安定的にもらえるだけでも、ものすごくいい身分のように思われる。

公務員は別として、民間ではリストラやいじめやら、社内ではひどいことが起こっている。年収は高ければ高いほどいいけれど、だからといって嫌な仕事や、理不尽なことやこれが仕事か?というようなことをやってまで給料を維持したいか。大手企業なら、うつになって休職しても給料をもらえるけれど、そんな人間を辞めないといけない状態になってまで会社にしがみつきたいのだろうか。そうなる前に、人として人生を全うしたいと思ったほうが健全なのではないか。

自分が何をしていれば気持ちいいか、何ができれば満足か、がわかってる人なら、あれもこれも欲しいと思わないだろうから、そこそこの金額で暮らすことはできるはず。自分にとって大切にしたい”何か”がある人は、現金にそれほどまでに、価値を見出さないのではないか。現金なんかより、その”何か”があったほうが幸せなわけだから。

そういうものがない人、自分の充足感や幸せの拠り所がない人は、何か汎用性の高い、誰でもわかるもので自分の価値を証明しなかればならない。たったひとりでは何も証明するものがないから、会社名や肩書きといったポジションと年収で、自分の能力や人間性を表すのだろう。それは、自分では発信できないので、誰か他人からの評価基準になる。そして、みんな他人の目を気にしながら、他人に評価されながら、このへんでいいのかな、と思いつつ生きている。別に自分が満足なら、誰がどう評価しようとかまわないのに。

生命保険は、命を金額で表すけれど、そういうものさしばかりを身につけて、金額で高い評価を得るために生きるって、いったい、誰の人生なんだろう。

自分の暮らしが豊かかどうかなんて、自分でしか決められない。他人の誰かが決めた”豊かな生活”を送るなんて、自分の人生ではない。豊かな暮らしは、年収なんかで決まるわけではないということに気づいたほうがいいのに、気づきたくないのか、他に探す意欲がないのか、それとも本当の自分に向きあう勇気がないのか。最低限の暮らしができる現金は必要だが、それ以上のお金をもらうために、人の道や自分の意志とははずれたことをするのは、本能と反しているわけなので生物として変な話。他人から良い評価を得るような人生よりも、自分が納得できる人生を送るにはどうしたらいいかを考えたほうが、ずっといいのにと思う。

※視点は違いますが、この記事も「お金と幸せの関係」について考えさせられます。
WIRED.jp 「お金は人を幸せにするか」

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