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被災地でアルコール依存症増加

07.05.2013 · Posted in メンタルヘルス, 震災復興

大きな災害や事件の後にはPTSDになる人が増え、心の均衡を保つため何かに依存する人が増える。特にアルコール依存になる人の増加は、医療関係者なら誰でも知っていることで、仮設住宅に移ったばかりの時期に、被災地ではそういう危険のある人をたくさん見かけた。

震災後2年目には「心のケア」が騒がれメディアでも連呼していたが、アルコール依存の防止やケアに的確な大きな動きがあったとは思えない。

東北会病院は、仙台の精神科専門病院で、震災後早くからアルコール依存の防止に動いており、仮設住宅を回ったり支援員への研修などを地道に行なっていた。

東北会病院
http://www.tohokukai.com/

東北では、都市部に比べて精神科への抵抗が強いのか、被災した沿岸部には精神科専門病院がなかったり総合病院にも精神科がなかったりする。それだけ医療のなかでも精神科の重要性が認められていない(精神を患うことが恥と思われる風潮が強い)エリアであるため、内科など他の科も自治体でも精神科医療が後回しになりやすかったのだと思う。

仮設住宅の集会所には女性は集まり易いが、男性はなかなか入りづらかったり、他の活動に加わりづらいという結果、男性で酒量が増える人が多い。いまだに目に見える復興が進まないなか、今後もアルコールに走る人は減るとは限らない。

東北会病院のような地域の特徴や文化をよく知っている専門家が中心になり、NPOや他の医療機関と連携してアルコール依存症の増加を防ぐ活動を続けてほしい。

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●被災地でアルコール依存症増加
7月2日 18時55分 NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130702/k10015750641000.html

東日本大震災の被災地では、仮設住宅での暮らしが長期化するなど、生活の先行きが見えない不安からストレスを抱えて飲酒の量をコントロールできず、アルコール依存症と診断される人が増えています。

こうした被災地でのアルコール依存症を防ごうと活動している支援団体が宮城県石巻市の「からころステーション」です。

スタッフで臨床心理士の渋谷浩太さんは「被災地で一人暮らしで仕事がない人がお酒を飲んでしまう気持ちは理解できます。そういった人たちは、なかなか周囲と コミュニケーションを取るのが難しいので、結果としてお酒ばかりの生活になってしまう危険性があると思います」と話しています。

渋谷さんの支援を受けている60代の男性も震災後に飲酒の量が増えたといいます。石巻市の仮設住宅で1人で暮らしている男性は、震災の津波で妻を失った寂しさから眠れない生活が続くようになり、朝から晩までお酒を飲み続けるようになりました。

ときには、4リットルの焼酎を1日で飲んでしまう日もあり、一時はアルコール依存症と診断されて体調を崩しました。

現実から逃れたいとお酒に頼るようになった男性は、渋谷さんと出会ってから次第にお酒の量をコントロールできるようになっていきました。

渋谷さんの勧めで同じ悩みを持つ人たちとの交流会にも参加。男性は「このままではいけない」と思うようになりました。お酒を飲みたくなったときには、いつも渋谷さんたちに電話をして話を聞いてもらったといいます。

今ではお酒を飲まない生活を続けられている男性。自分の意志でお酒をやめられるまで粘り強く対応してくれたおかげだと感じています。被災地では、お酒に依存してしまう人がどれくらい増えているのか。

アルコール依存症の治療に積極的に取り組んでいる東北会病院の石川達院長によると、震災前の平成22年度にこの病院でアルコール依存症と診断された患者は、月平均で23.8人。それが、震災後の平成24年度では、月平均が28.7人と、およそ5人増えていました。

石川院長は「被災地では生きがいをすべて失い、それまで積み重ねてきたものがなくなってしまった人たちの喪失感は相当なもので、多量飲酒者がこのまま増え続 ければアルコール依存症も増えていく可能性が高い」と指摘しています。18年前に起きた阪神淡路大震災では、震災後に仮設住宅でいわゆる孤独死した人のおよそ30%がアルコールが原因の病気だったという調査結果もあります。

飲酒による健康被害を防ぐ対策も重要ですが、同時に、復興のスピードを加速させるなどして、お酒に頼る原因となるストレスを減らしていくことも大切です。

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