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奨学金が若者を苦しめる

09.05.2013 · Posted in 社会

大学や専門学校に行くために、奨学金を利用する若者は多い。親が学費を出すのは当たり前だったのは一昔前の話で、不況でリストラされたり業績不振の職場で働く親は生活するので精一杯。子どもの学費を出したくてもない袖は振れない。

大卒や専門卒の学歴がないと、就職が難しい今、親をあてにしないで進学するには、奨学金に頼らざるをえない。

ただ奨学金を4年間MAXでは借りると1000万円近くになる場合もある。卒業後、それなりの企業に正社員で就職できれば返済のメドはつくかもしれないが、それでも30代までかかる。まして、不正規雇用やアルバイトなら、学校を卒業した時点で、大きな借金を抱えたまま人生を送らなくてはならない。

若者の将来に役立つためにあったはずの奨学金は、今や、若者の将来の足枷になりつつある。本当に若者の能力を伸ばし希望を与えるための奨学金であれば、制度の見直しが早急に必要だ。

今のままの奨学金制度であれば、若者を借金づけにしてやる気を失わせ、金の奴隷にするために制度にすぎないのではないか。


●奨学金で自己破産 就職難や非正規増影響…
東京新聞 2013年9月5日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/chiba/20130905/CK2013090502000134.html

 就職難や非正規雇用の増加を背景に、学生時代に借りた奨学金の返済滞納者が増えている。千葉市の男性(25)もその一人で、返済ができずに自己破産に至った。関係者からは制度の問題点を指摘する声も出ている。 (白名正和)

 男性は高校卒業後、都内のアニメ専門学校に入学する際、日本学生支援機構を通じ、奨学金を借りた。共働きの両親の月収三十万円では、進学できなかったからだ。

 一年半ほど通ったが、父親が親戚から借りた約二百万円の返済に奨学金を充てざるを得なくなり、学費がなくなって中退。利子を含めて借りた奨学金約三百万円が負債として残った。その後、警備会社でアルバイトしたが、月十数万円の手取りでは返済は進まなかった。

 一〇年六月、コンビニ店のオーナーから「ゆくゆくは店長にするから」と店の仕事に誘われた。仕事は見つかったが、父親が男性名義で百万円以上の借金をしていたことが新たに分かり、借金は五百万円近くに膨らんだ。仕事もオーナーが一二年一月に突然店を閉めたため失った。借金返済を相談した司法書士から「ほかの借金だけなら何とかなるが、奨学金も合わせると破産しかない」と言われ、自己破産した。

 「奨学金に人生を狂わされた。借りなければ、もっと良い人生が歩めたかな…」と疑問を抱く男性。父親も亡くなり、現在は生活保護を受けながら仕事を探す。だが、高卒で車の運転免許もなく、仕事はアルバイトぐらいしか見つからないという。

 こうした事例について、奨学金問題対策全国会議の事務局長で岩重佳治弁護士は「雇用崩壊などで、制度の弱点が表に出てきた」と指摘する。

 返済義務のある奨学金は、卒業後に安定した職業に就けるという前提でしか成り立たない。しかし、最近は非正規雇用の対象拡大で学生らの就職は不安定となり、「返したくても返せない状況が構造的に生み出されている」(岩重弁護士)という。
◆12年度の滞納 全国33万4000人

 日本学生支援機構によると、二〇一二年度末時点で奨学金を借りている人は全国で百三十二万人、貸与額は一兆八百億円。滞納者は一二年度に三十三万四千人、滞納額は九百二十五億円となった。滞納者と額はいずれも過去五年間で増え続けている。

 同機構の調査(一一年度)では、滞納者は雇用期限付きの正社員やアルバイトら非正規雇用と無職で46%を占め、正社員の34・5%を上回る。滞納者の年収は三百万円未満が83・4%で、滞納理由は「収入が減った」が75・3%に上っている。

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