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音楽がIQを高くし、学力向上に

10.27.2014 · Posted in 子ども

音楽は、
・IQを高くする
・音楽レッスンは貧困地区と富裕地区の子供の成績ギャップを小さくする
・音楽レッスンはスポーツや劇、ダンス以上に学力を高める
・音楽は読書障害を早期に見分ける

といった効果があるという記事。

音楽は、視覚、聴覚、触覚など様々な感覚を使って行うので、五感のバランス感覚を養う。

普通の家庭だと自然と経験できることでも、貧困家庭だと子どもが育つ環境として、一般の家庭より多くのものが欠落しているので、音楽はそれを効果的に補完する役割があるのではないか、と思う。

学校で、机上の勉強より、音楽や図画工作などの全身の感覚を使う時間を多くとってほしい。

音楽がIQを高くする―米国の学力向上策にも
(The Wall Street Journal 2014年10月14日)

 米国の教育は終わりのない危機に直面している。米国の学生の学力は他の国の学生に大きく後れを取り、学習障害は米国の子供の5人に1人に達している。これに対し、多くの解決策が試みられているが、成功したものはほとんどない。そこで筆者はこれまでと違うアプローチを提唱したい。それは音楽のレッスンである。多くの報告から、音楽は他の多くの高価な解決策より秀でていることが明らかになっている。

 多くの著名な成功者が、成功の少なくとも一因として音楽教育を挙げる。昨年ノーベル医学賞を受賞したスタンフォード大学のトーマス・スドフ教授は、ノーベル賞を受賞できたのは木管楽器バスーンの先生のおかげだと述べた。6歳でバイオリンを習い始めたアルバート・アインシュタインは、相対性理論を発見したのは「音楽的な知見があったからだ」と語っている。

 しかし最近まで、鶏が先か卵が先かという疑問があった。頭が良く意欲的な人は自然と音楽に惹かれるのか。それとも、音楽が彼らを賢くし意欲的にするのか。最近発表された新たな調査報告は、かなり興味ある答えを提示する。音楽は万能薬でもなければ、あなたの子供をノーベル賞受賞者にする可能性が大きいわけでもない。だが、音楽が子供の学業成績を良くし、米国の教育の手に負えない問題の一部を解決してくれる。

 ・音楽は知能指数(IQ)を高くする

 トロント大学のE・グレン・シュレンバーグ教授(心理学)は、2004年に音楽がIQに与える影響を評価する研究を考え付いたときは、音楽が頭を良くするとの議論には懐疑的だった。彼は、1年生132人を無作為に選んで、キーボードか歌、ドラマのどれかを習うか、何も習わないかの4グループに分けた。年度末にIQを測定したところ、音楽のグループが他のグループより上昇した。

 同じくトロント大学のシルベイン・モレノ準教授(心理学)が2011年に発表した48人の就学前の子供を対象にした調査結果では、音楽のレッスンを受けた子供はわずか20日間でIQが高まり、上昇率は視覚芸術の授業を受けた子供の5倍に達した。音楽の訓練は、子供の実行機能、すなわち計画を立て、体系化し、戦略を練り、問題を解決する能力を向上させることが分かった。

 ・音楽レッスンは貧困地区と富裕地区の子供の成績ギャップを小さくする

 ロサンゼルスの貧困地区の子供たちに無料で楽器のレッスンを行う「ハーモニー・プロジェクト」では、参加した子供たちは学校の成績が良くなっただけではなく、卒業後大学に進学する者が増えた。

 ノースウエスタン大学のニナ・クラウス博士(神経生物学)は、その理由を解明するため44人の6-9歳児を2年間追跡調査した後、子供たちの脳の活動を測定した。それによると、音楽を学んだ子供は言語力や読解力、集中力にとって重要な音声処理能力が大幅に向上した。その結果、学業成績も良くなった。

 ・音楽レッスンはスポーツや劇、ダンス以上に学力を高める

 ドイツ経済研究所は昨年、17歳の生徒を対象に音楽とスポーツ、劇、ダンスのそれぞれのレッスンが学業に及ぼす影響を比較調査した。それによると、授業以外で音楽のレッスンを受けた生徒は、その他の生徒に比べ認識能力がかなり高く、学業成績も良く、勤勉で意欲的だった。もちろん、音楽以外も効果はある。スポーツをしている者は意欲的で、劇やダンスをしている者は楽観的だった。ただ学力という点では、音楽のレッスンの影響が最も大きかった。

 ・音楽は読書障害を早期に見分ける安価なツールにも

 ブラジルの音楽教師、パウロ・エステバオ・アンドラダ氏は自分が受け持つ小学2年生の生徒たちを見て、リズムと音の高低の理解に苦しむ生徒は、後になって読書障害を持つことが多いことに気付いた。これを受けて、同氏は「ゲーム」を開発した。同氏が一連のコードをギターで弾き、生徒たちに高い音か低い音かを表すシンボルを書かせるというゲームだ。このゲームで成績が悪かった生徒は、後になって深刻な読書障害を引き起こすことが多いことを同氏は突き止めた。

 これに興味を持った同氏は、ハーバード大学医科大学院のナディーン・ガーブ助教のチームに加わり、3年間にわたって43人の生徒を追跡した。この結果、このテストで一般的な学習障害も予想できることが分かった。理由はなぜか。アンドラダ氏によると、音楽のテストで使われた脳のプロセス(聞いたことの詳細とその伝えられた順番を覚えておく能力や、音節、単語、それに文章を順番に聞く必要性など)は読書のために学ぶ必要のあるものと同じだからだ。ガープ助教はこのテストは安価で簡単に実施できるため、早期介入のツールとしての潜在性が大きいと述べる。

貧困地区の子供たちに無料で楽器のレッスンを行う「ハーモニー・プロジェクト」のクラリネット・グループ The Harmony Project

 ・音楽は文字通り脳を拡大する

 2009年に医学誌「神経科学」に掲載された研究では、15カ月間の楽器のレッスンの実施前と後に6歳児31人の脳をMRIで調べた。チームはレッスンを受けた群の微細運動能力と聴力をつかさどる脳の分野が大きくなり、双方の分野の能力が上がったことを突き止めた。脳の左側と右側をつなぐ脳梁も太くなった。

 この研究論文の共著者であるボストンカレッジのエレン・ウィナー教授(心理学)は、「音楽以外の効果を期待するのであれば、私は粘り強さや自制心といった点に注目する。なぜなら、楽器の演奏にはそういったことが必要だからだ」と述べる。

 しかし、音楽レッスンは依然たいして必要のないものだと考えられている。ジャーナル・オブ・エコノミック・ファイナンスの2011年の分析によると、ある郊外の地区で幼稚園から高校までの音楽レッスンにかけられている費用は、生徒1人当たり年187ドルと、全教育予算のわずか1.6%を占めるに過ぎない。これで米国の教育が直面する最も厄介で最もカネのかかる問題の一部が解決できるのであれば、儲けもののように思える。

 (筆者のジョアン・リップマン氏は元ウォール・ストリート・ジャーナルの副編集長。メラニー・カプチンスキー氏との共著「Strings Attached: One Tough Teacher and the Gift of Great Expectations(条件付き:ある厳しい教師と大いなる期待の贈り物)の著者)

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