Home Health Supplement Child Diet  
     
 

子どもの健康情報【小学生10人に1人がうつ傾向】


 小学生4〜6年生の約10人に1人以上が、「眠れない」「何をしても楽しくない」といった抑うつ傾向を示していることが、筑波大学の5都県3300人以上の児童を対象にした調査でわかりました。2004年7月2日から始まる第1回日本うつ病学会で発表されました。(参考:朝日新聞2004年7月2日)

 筑波大学の新井邦二郎教授と院生の佐藤寛さん(発達臨床心理学)が、東京、神奈川、埼玉、茨城、宮崎の5都県の公立小学校に通う4〜6年生計3324人にアンケートを実施し、18の傾向について質問しました。

 その結果、このまま放置して悪化するとうつ病につながる可能性のある心の負担(抑うつ傾向)が男子の10%、女子の13,5%で一定基準を超え、何らかの援助を必要とするレベルに達していました。

 その内訳は…

症状割合
よく眠れない16.8%
やろうと思ったことがうまくできない15.5%
落ち込むと元気になれない15%
何をしても楽しくない14.7%
退屈11.8%
ひとりぼっちの気がする10.2%


 現在、国内の調査で一生にうつ病にかかる割合は、15人に1人とされており、筑波大研究班による、「児童の3.5%がうつ病性の障害がある」という報告もあります。

 また、北海道大大学院の伝田健三助教授(児童精神医学)らの調査で、うつ病につながるリスクがある「抑うつ症状」が小学生の7.8%、中学生の22.8%にみられることが報告されています。(2004年11月1日朝日新聞)。この調査は、札幌、千歳、岩見沢の3市の56小中学校に通う2万人余りに質問紙を配布し、そのうち本人と保護者の同意を得られた有効回答3331人についての結果をまとめたものです。

 「生きていてもしかたがないと思う」という問いに、「いつもそうだ」が4.0%、「時々そうだ」が14.8%、「何をしても楽しくない」といった気分の落ち込みに加え、「泣きたい気がする」「独りぼっち」などの悲哀感が強く、自殺願望が18.8%もありました。

 はっきりと気持ちを表現できる子どもはいいのですが、子どもの場合、「悲しい気持ち」「暗い気持ち」と表現したり、「イライラする」ということも多く、大人に比べると、憂うつな気分を積極的に表現しない傾向があります。また、「悪いのは自分のせい」「誰も助けてくれない」と自責感や孤独感を持つ子どもも多く、学校に毎日通っているために、親や周りの大人が気づいてもらえず、本人はとても苦しんでいる場合も多く見られます。

 子どものうつは、進級や進学、転校などで友人関係が変化したときや、災害やいじめなどを経験したことをきっかけに起こることが多いのです。また、厳しい親にいつもしかられることが多い子は、テストの結果や成績が悪かったときに、普段よりきつくしかられると、「もう自分ではどうすることもできない。誰も助けてくれない」など悲観し、うつの誘因になることもあります。

 最近では、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)や思春期の女子に多い摂食障害の中にも、うつ症状のある子どもが少なくないことがわかっています。

 うつ病は、「心の風邪」といわれ、最近はかなり身近な症状として知られていますが、大人でも本人がなかなか認めずに医療機関にかかれない人が少なくありません。子どもの場合、自分ではうまく表現できず、また親に迷惑がかかるなどと、一人で悩み症状が悪化することもあります。小中学生の成長期は、大人からしてみれば些細な問題や小さな異変でも大きくとらえ心の負担になり、うつ病のきっかけになることが少なくありません。また、うつ病に対してまだまだ理解が不足している大人が、状態を見極められず、専門家に相談するのが遅れて、子どもの症状を悪化させることもあります。親や周りの大人が、子どもの異変をきちんととらえ、早めに適切に対応してあげられれば、子どものちょっとしたつまづきも、成長の糧に変えられるのではと思います。

---2005.2.25 (c) Mica Okamoto ---


【Child】トップページ