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【リバウンドの恐怖】


 「ダイエットが成功しても、すぐにリバウンドしてしまう」という人がいますが、リバウンドして元に戻れば、ダイエットが成功したとはいえません。

 極端な食事制限などをすると、最初はみるみる体重は減りますが、ある一線を越えると体重の減りが鈍ります。これは、少食に身体が慣れ、基礎代謝が下がり、身体が以前より低いカロリーで生活できる節約モードに入るためです。

 その状態で元の食事量に戻すと、少食に慣らされた身体にとってはカロリーオーバーになり、その分が体脂肪として蓄えられてしまうのです。これがリバウンドです。食事制限をする前と後では、身体の状況が変わっているにも関わらず、”食べられなかった”という苦しい思いからの解放感で食事量を戻すと、結果的に大食いをしているのと同じ状況になっているのです。

 また、まちがったダイエットは脂肪と一緒に大切な筋肉も落とします。筋肉は脂肪を消費する最大の器官ですので、筋肉が落ちると体内脂肪は消費されにくくなります。体重が元に戻るとき、落ちた筋肉の分が回復しないうちにその分まで脂肪が増えて元の体重に戻ってしまうので、体重が以前と同じになったとはいえ、ダイエット前よりも後のほうが体脂肪率が高く、痩せにくい身体に変わってしまっているのです。

 リバウンドを繰り返すことを、「ウエイトサイクリング現象」と言いますが、リバウンドを引き起こすと内分泌系を悪くしたり生活習慣病になりやすく、身体にとってはよくないことばかりです。

 太ると血圧が高くなるため、心臓の活動が激しくなりますが、逆に痩せて血圧が低くなれば、心臓への負担も減ります。しかし、リバウンドを繰り返して太ったり痩せたりを繰り返すと、血圧が高くなったり低くなったりと安定しないため、心臓や血管への負担は大きくなり、心臓を弱めることになります。

 ある統計では、肥満のままで8年くらい病気にかかりにくい状態が続くのに対し、ウエイトサイクリング現象を引き起こすと3年から5年で生活習慣病や高血圧症に悩まされる統計も明らかになっています。

 イギリスのある論文によると、ウエイトサイクリングに陥っている人は、体重が安定している人よりも狭心症や心筋梗塞などの心臓病になる率や、それらの病気で死亡する率が1.4〜1.5倍高かったといいます。

 またアメリカのある研究では、肥満ではないの男性1万2千人(平均年齢67歳)を対象に調査したところ、「ダイエットをしていない」人が心臓病になる率は11.6%、高血圧は23.4%、糖尿病は3%だったのに対し、「いつもダイエットしている」人だと心臓病23.2%、高血圧28.3%、糖尿病14.6%と高率でした。

 ウエイトサイクリングは精神的影響もあるという報告があります。アメリカのある大学の研究によると、1年間に5ポンド(約2.2kg)の体重増減のあった人は、体重が安定している人と比べると、幸福感が低かったり食事のコントロールができないなどストレスが大きいことがわかっています。

 これらの結果を見るだけでも、太っていて安定している人よりも、ダイエットをしてリバウンドを繰り返す人のほうが不健康になる可能性が高いことがわかります。生活習慣病の予防においては、体重を減らすことよりも、体重の増減を繰り返さないほうが大切だという学者もいるといいます。

 ダイエット後にリバウンドをしても、一度減量を経験していると、またすぐに減量できると思いがちですが、リバウンドを繰り返すと痩せにくい体質になっていますから、当初のように減量できるわけではありません。そのうえ、健康にも影響があるのですから、ダイエットする場合はその後の状態を維持できるよう減量後のケアに真剣に取り組むことが大切です。

---2003.10.19 (c) Mica Okamoto ---


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