「断食」というと精神力が必要でかなり大変そうなイメージだが、本格的な断食ほど辛くなく、気軽に取り組める「プチ断食」が注目されている。

　断食の効能としてあげられるのが、まずダイエット。飽食の時代といわれる現代、忙しい合間を縫って三度きっちり食事することがカロリーの摂り過ぎにつながっていると指摘されている。過食のせいで太っているなら、断食で食事を抜けば、余分な体脂肪を燃やされるため、痩せることにもつながる。

　またストレスの多い現代で弱り気味の消化器官は、休まず働いている状態で負担がかかり、機能低下につながっている場合も多い。断食で消化器官を休ませれば、本来の機能を取り戻すことができる。その結果、便秘が解消されることも多い。

　以前、本格的な断食経験者に聞くと、「なにも食べてないのに、便はどんどん出るし、目やにや吹き出物まで出てびっくりした。でも、終わることには、体内の要らないものが全部出た感じがでてスッキリした」といっていた。断食は今まで身体にため込んで老廃物を一気に出してくれる効果もあるのだろう。なかには宿便が出るという話もある。

　元々断食は精神修養のために行われていただけに、断食をすると心がリラックスできてストレスが解消されて頭がすっきりするという精神面でも効果もある。

　また、九州大学医学部のマウスによる断食実験では、加齢に応じて減少するリンパ球の数が増え４日間の断食を２週間ごとに繰り返すと平均寿命が2.3倍に延びたという結果もある。免疫機能が強化され自然治癒能力が高まる効果があるということなのだろう。

　「プチ断食」は、全く飲まず食わずというわけではなく、方法はいろいろ。知人が行っているのは、日曜は何も食べず、水分だけしっかり摂るという週末断食の方法。水分はミネラルウォーターや糖分のないお茶、ブレンド健康茶やルイボスティ、ショウガ紅茶などを飲んでいる。もしくは、丸１日野菜ジュースだけで過ごしている人もいる。

　もうひとつよく聞くのは、週末の朝食と昼食を抜き、夕食は普通に食べる方法。夜はアルコールも飲んでいる。これなら、すぐにでもできそう。

「食べ過ぎ飲み過ぎの翌日は、食事を抜くと調子がいい」という人もけっこういる。

　プチ断食は若い女性から中高年まで幅広く人気があり、ダイエットと生活習慣病の予防に始める人も多い。

　そういえば、犬や猫はエサをいくら与えても必要な分を食べれば止めるが、人間はお腹がすいていなくても、「三食食べないといけない」とか「急にあれが食べたくなった」などといって食べ物を口にしてしまう。動物の本能以外の食感覚で食べてしまうから、太りすぎたり病気になったりするのではないだろうか。本来人間の身体が持つ機能やバランス感覚を取り戻すために、断食は一役かってくれるにちがいない。

---2003.2.5　(c) Mica Okamoto ---