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[No.055: ナイトキャップはほどほどに]

 暑くもなく寒くもなく、秋は快適に眠れる季節。また、逆に秋の夜長を楽しむにも過ごしやすい。ビデオや音楽鑑賞、ゲームや趣味に夢中になったりして、眠るタイミングを逃して眠れなくなることもある。

 睡眠を調節している自律神経は、お互い逆の働きをする交感神経と副交感神経の2つの神経系があり、この2つのバランスがうまくとれていると良い眠りを得られる。しかし、ストレスなどが原因でバランスが崩れると、眠るべき時に眠れない状態、いわゆる不眠になってしまう。

 最近は眠ろうと思っても眠れない人が多く、2001年の厚生労働省の調査では成人の4人に1人が「睡眠が不十分」といい、6割が日中も眠気を感じ、4割は「寝付きが悪い」と答えている。また、眠るためにアルコールや睡眠薬などを使っていた人は14%もいた。

 世界10か国で行ったフランスの製薬会社の調査によると、「不眠解消にアルコールを飲む」と回答した人は日本人の3割に達し、参加した国のなかではトップ。一方、欧州で5割前後を占めた「医師に受診」という答えは、日本では最も少なく8%。日本人は寝酒に頼っている人が多いのだ。

 アルコールには覚醒の働きを抑える働きがあるため、眠気を誘い、寝付きはよくなる。またいったん眠るとよく眠った感じもある。しかし、その効果は短時間しかなく、効果が切れると目覚めやすくなる。

 寝酒を習慣化すると、脳はアルコールに対する耐性を作り出すため、同じ効果を得るには、量や度数を増やさなければならない。そこで深い眠りのために飲む量を増やしたり度数を強くしてしまうと、さらに強い耐性が作られ、より強いアルコールを欲するといった悪循環に陥る。こうなると眠るためのアルコールは手放せなくなり、飲めないときには悪夢まで見てしまう。つまり睡眠薬代わりの寝酒は、不眠の元になり、アルコール依存症になる危険まである。

 アルコール依存症になると、不眠の程度がさらにひどくなり、深い睡眠にほとんど入れない状態になり、夜中に何回も目を覚ます中途覚醒が多くなる。さらに進行すると、自分のいる場所や時間もあいまいになり、虫などが見えて一生懸命取ろうとしたり、突然興奮したりといった「振戦せん妄」の状態になる。眠れないからと寝酒が度を超すと恐ろしいことになりかねない。

 不況でストレスがたまりやすい現代、お酒で憂さ晴らしし、嫌なことは忘れて寝てしまいたいと、アルコールに頼る人も少なくない。ただし、ナイトキャップはくれぐれもたしなむ程度にしておこう。

---2003.10.1 (c) Mica Okamoto ---

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