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[No.057: メール中毒は依存症?]

 電車のなかで携帯メールに夢中になっている人は多い。また、携帯にしばらくメール着信がないと頻繁に問い合わせする人、会議やデートの最中でもわざわざ話を中断してメールチェックする人、さらに自転車や車を運転しながらメールを打っている人まで見かける。よく前も見ずに運転できるものだと呆れるが、危険なことは承知なはずなのに、どうしてもメールせずにはいられないのだろう。まさに、メール中毒といえるのではないか。

 このような人は日本だけではなく海外でも増えている。
 イギリスで行われたあるアンケート調査によると、携帯電話を所有する人の72%が、携帯電話機をなくすよりも財布をなくす方がマシだと答え、86%は、携帯電話機を持っていないと不安だと述べている。

 今夏には、ニューヨーク・タイムズ紙に、ビジネスマンのなかに「強迫的ながら行動」が広がっているという記事が載った。会議中でも携帯でのメッセージのやりとりが止められない、他人がプレゼンテーションしている最中に電子メールをチェックせずにいられない、子どもと遊んでいる時でさえメールをチェックしてしまう…こんな症状をハーバード大学の精神科医は、こうした症状を「疑似注意力欠如障害」と呼んでいる。

 通信機器が便利になればなるほど、コミュニケーションを続けたいという欲求が簡単に実現するため、ついつい実行に移してしまう。以前は何件かに1台しかなく電話を借りにいった時代もあったが、各家庭に普及し、長電話が問題になった。そしてここ数年の爆発的な携帯電話やパソコンの普及で通信機器は身体の一部と化し、便利さと身近さゆえに、常に誰かとつながっていたい衝動から離れられない人が増えてきている。

 一種の依存症にも見えるこれらの行為は、医学的に見るとどうなのだろう?
 アルコールや薬物の依存症治療で知られるロンドンの医師が、患者の中に1日最大7時間も携帯電話のテキスト・メッセージの送信に費やしたり、インターネットのチャットに入り浸ったりしている人がおり、そのうちの1人は反復性運動過多損傷(RSI)の症状を示している、と報告した。そのため、メール中毒は依存症と関連が疑われ始めた。

 しかし、一方で「コミュニケーションは人間にとって自然な関心事であり、驚くことではない。例えば、強迫神経症で手を洗わずにいられない人がいるが、手を洗うこと自体には依存症と関係があるわけではない」という学者もいれば、「医学的に”…中毒”や”…依存症”にあたるのは、麻薬中毒で脳に損傷を与えるような、身体に有害な結果が伴う場合である」という学者もいて、メールから離れられない人が依存症と関係があるかどうかははっきりしない。

 ただし、メールにハマってしまうことで、指を使い過ぎて手指に痛みが出るといった直接的な害から、会話をすぐに中断して人間関係が悪化したり、前方不注意で事故を起こすなどの間接的な害は十分に考えられる。実際に携帯メールに夢中の母親に育てられた子どもは発達障害にもなりかねないのではないか、という不安さえ浮かぶ。

 携帯電話もパソコンも、暮らしを快適にするために作られたものだということを十分に理解したうえで、生活に悪影響を及ぼさないように上手に使いこなしたいものだ。

---2003.11.2 (c) Mica Okamoto ---

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