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[No.066: 石で癒す 岩盤浴]

 デトックスが流行しはじめた影響か、街なかに岩盤浴施設が急激に増えている。うちの近所にもこの3ヶ月程の間に3つも岩盤浴の施設ができた。オープニングキャンペーンで割安のうちにぜひ体験と行ってみた。

 そこは、マンションの地下1階フロア。昼間の2時という最も空いていそうな時間を2日前に予約した。電話した際は、「午後はいつでも大丈夫です」といっていたが、行ってみると既に4人利用しており、私と友人が入った5分後に3人連れが来た。「結構、流行ってるんだ…」と思いながら、たぶんこれは近所の主婦たちのおしゃべりの流れで、「今日時間があるんだったら、行ってみない?」というノリで流れてきたのではと感じた。

 そこは女性専用、入口で会員になり、スタッフに利用方法の説明を受ける。笑顔の素敵な女性だが話が遅い。1コース70分と最初に説明を受けたので、早く説明を終えてくれないかな…と思ったが、こういうリラックスする場所だからこそ、てきぱき早口ではなくゆったりしゃべる癒し系のスタッフが配置されたのかと、要らぬことまで考えてしまった。

 体調の問診を受け、専用の服に着替え(下着も使い捨てが用意されている)、いよいよ岩盤浴の部屋へ。間接照明で薄暗くヒーリング系ミュージックが流れており、落ち着いた雰囲気。石のベッドは10床。温度40度、湿度60度にセットされている。水がちょろちょろ流れる音も聞こえ、心を落ち着かせてくれる。

 40度くらいに温まった石の上にバスタオルをひいて寝転がる。うつぶせ5分、あおむけ10分、水分補給の休憩を5分、これを1セットとして3セット60分が1コース。枕元にある時計で自分で時間を計りながら行う。

 最初のうつぶせ5分は、なんとなく身体がほんわか温まり、あおむけ10分で、じんわり汗ばむくらい。とりあえず水を飲み、2セット目に。うつぶせ5分でお腹の芯まで温まってきた感じ。あおむけ10分では汗が流れ出すのを実感。2回目の休憩では紙コップで3杯も水を飲む。3セット目は、汗が吹き出す感じで、タオルで顔や首回りを何度もぬぐった。

 サウナのように肌に熱さを感じることなく、ゆったりじわじわと温まるので気持ちよい。温泉のように水圧を受けないのも、身体が疲れない理由だという。

 ひとまず1コース終了。身体中の汗をタオルで拭いても拭ききれる感じではなく、シャワーを浴びたい気分。だが、シャワーもお風呂もない。休憩室はエアコンが効いているのでスーっと汗は引くのだが、一旦かいた汗のまま服を着替えるのは、あまり気持ちよいとはいえなかった。

 その店の説明では、「岩盤浴で出る汗は通常の汗とは違い、普段は汗をかかない皮脂腺から出るとても細かな汗で、汗臭くなくベタつかず拭き取るだけでとてもさらっとします」とある。確かに夏場のベタついた汗とは質が違うような気がするが、やはり汗はちゃんと洗い流したい。帰ってから近所の岩盤浴を調べてみたが、シャワーはついていないようだった。

 「コース終了後の休憩時間はカウントされませんので、ゆっくりとおくつろぎ下さい」といわれても、椅子が数脚ある病院の待合室のような他人もいる場所でゆっくりする気分にはなれなかった。一緒に行った友人と「もっと広くてソファくらいあってもいいのにね」と話したが、割引で2000円では無理はいえない。

 インドネシアで行ったスパで「ハマム」というトルコ式スチームスパを経験したことがある。白い蒸気が充満する部屋のなかで、温められた石床に横になりゴマージュのマッサージを受けた後、貴族のような部屋でリラックスしながらフルーツとハーブティでゆったり過ごした。スタッフの技術やサービス、空間やロケーションのゴージャスさで、心身ともに癒された貴重な体験だった。いくつかスパを経験したことがあるが、温められた石の床に寝転ぶのはそれが初めてで、これほど気持ちよいのかと感動ものだった。その時と温められた石床は共通しているとはいえ、比べてはいけない…と温かさの余韻だけに浸ろうと気分を変えた。

 その店が使っている天然石は、北海道産のブラックシリカ(黒鉛珪石)で、遠赤外線をはじめとする様々な活性波動を半永久的に放射発散しているのが特徴なのだそうだ。

 確かに岩盤浴では身体が温まり血流がよくなる効果は実感できる。お風呂に入浴した後にはスーッと体温が下がる感じがするが、岩盤浴では身体の中心が3時間以上はホカホカしたまま持続する。また、温泉に入った時のような気だるさはないので楽。汗の量を実感できるのでサッパリ感もある。冷え性に悩まされる冬や夏の冷房で体温調節がおかしくなったときなどは、ぜひ利用したい。

 全国では岩盤浴ラッシュで施設の数は大小500箇所とも800箇所とも言われている。岩盤浴に使われる天然石は、中国の麦飯石や桂晶石、岩手県の角閃石や貴陽石など様々。すでにヒーリングアイテムとして天然石を身につけたり、部屋に置いたりすることは流行しているが、岩盤浴ブームとともに天然石がさらに注目されるかもしれない。天然石は、長い年月をかけて多くの自然の恵みが蓄積されてできたもの。見た目が派手な人工物に惑わされていた人間も、その静かな存在から発する恩恵の重さに気づき始めたのではと思う。

---2006.5.27 (c) Mica Okamoto ---

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