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[No.023:最近の虫歯予防と治療]


 「80歳になっても自分の歯を20本保とう」という”8020運動”が平成元年に提唱されてからもう12年がたちました。歯科医による虫歯治療も徐々に変わりつつあるようです。

■早期診断・早期発見が逆効果

 目で見えない初期の虫歯を見つける道具に「探針」というものがあります。これでひっかいて小さな虫歯を発見しようというものですが、ひっかくことで逆に虫歯ができることがわかり、10数年前には大半の国で使われなくなりました。しかし、日本の歯科医には伝わらず、「早期診断・早期治療信奉が続き、微細な虫歯も大きく削って詰める治療が続いています。その結果、詰め物のすき間から虫歯は進み、数年ごとに再治療、再々発と大がかりになり、やがて歯を失うことに。

 しかし、山形県の歯科医師、熊谷崇さんが日本口腔衛生学会で研究発表したことから探針の使用について見直しをせまられることになりました。熊谷医師によると、ていねいに治療した患者も虫歯を再発したことから間違いに気づき、歯科衛生士による定期的な指導とフッ素入り歯磨き剤での予防に治療方法を移すと、小学生の6割は虫歯にゼロになったそうです。

 歯を削ることばかりを考えていた日本の歯科は世界から20年遅れているといわれていますが、この発表で、削られる歯や失われる歯は減るのではと期待されています。

■接着性レジン

 一方、日本の歯科は接着性レジンを開発したことについて世界に認められています。今までの治療だと虫歯を大きく削り、歯を複雑な形にして金属をとれにくくしていましたが、接着力の強く、予防効果も期待できる樹脂、接着性レジンの開発のおかげで、虫歯部分だけを削り、金属をつけたり、樹脂で埋めたりすることができるようになりました。

 しかし、現状ではまだ普及していません。特定の奥歯で見ると、米国ではすでに2割を越えているのに、開発した日本ではまだ5%ほど。その理由は、保険点数の低さと、歯科教育のせいです。接着性レジンは技術がいるうえに、時間と材料費で1万5千円のコストがかかります。しかし、日本の保険では三千円しか請求できません。そのうえ、歯科大学のなかで、接着性レジンについて教えていないところもあります。金属は大量処理などで収益になるので、保険医療では金属を使うことがまだ多いそうです。

■虫歯予防にフッ素

 日本ではまだ賛否両論のあるフッ素。しかし、欧米では虫歯予防の主流です。
 フッ素は地殻中で13番目に多い元素。歯質を強くすると同時に、一度虫歯になった部分を修復する再石灰化作用があります。

 現在、米国を筆頭に36カ国3億2千万人がフッ素入り水道水を飲んでいます。日本では水道水のフッ素化は行われておらず、フッ素洗口も児童の2%とフッ素の活用が遅れており、欧米の子どもより砂糖消費がずっと少ないのに、虫歯はとても多いのが現状です。85年には世界保健機関(WHO)が各国の歯科医療を評価した際は、砂糖消費の少なさや保険所の指導はほめられましたが、肝心のフッ素が欠けていると指摘されました。

 日本は化学物質や薬に対する国民の不信も強く、少しでもフッ素が危険という研究者がいると、なかなか手をつけたがらなかったせいで、普及が遅れたのだそうです。ようやく昨年末、日本歯科医学会がフッ素推進の見解を発表したところです。

 このような流れからすると、虫歯予防には、フッ素入り歯磨き剤でのブラッシングやフッ素水でのうがい、歯科衛生士による定期チェックが大切ということで、できるだけ歯を残すことを重視する医師が信頼できそうです。虫歯を見つけて、すぐに削って金属をつける医師はちょっと敬遠したほうがいいのかもしれません。

参考:朝日新聞「ふしぎの国の医療」                 

---2000.6.17 (c) 2000 by Mica Okamoto ---

 

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