[No.055:海藻フコイダンの健康効果]
フコイダンという名前を聞いたことがありますか?
フコイダンとは、コンブやワカメ、モズクなどの褐藻類に含まれている成分です。これがさまざまな健康効果をもたらすことがわかってきました。
■フコイダンの健康効果
フコイダンは、コンブやワカメのヌルヌルした成分に含まれている多糖類。潮が引いて藻体に太陽光が強くあたっても、藻類が耐えられるのは、フコイダンが藻体の水分を保持するから。つまり天然の潤い成分といえます。
褐藻類は、中国では古くからガンの治療薬として使われ、北欧のバイキングはフコイダンを豊富に含むヒバマタという海藻を遠洋航海で利用したといわれています。
フコイダンは20数年前から、血液凝固を防ぐ作用や免疫力を高めて、ガンを縮小させる作用について研究されてきました。
96年の「第55階日本癌学会」でコンブ由来のフコイダンが、ガンを壊死させる機能があることが発表され、一躍注目されることに。
また、沖縄からブラジルに移住して海藻を食べなくなった人に、1日5gのワカメ粉末を2週間摂取すると、高血圧と高脂血症が改善したという研究結果もあります。
このようにフコイダンは、免疫力を高め、ガンを縮小させる作用や、血液凝固を防ぐ作用、コレステロール値、血圧、血糖値を下げる作用のほか、豊富な食物繊維で便秘を解消する整腸作用、体内の敵を抑える抗アレルギー作用、胃潰瘍の原因であるピロリ菌を減らす抗潰瘍作用、肌の乾燥を防ぎ引き締める効果などに、すぐれていることが解明されています。
■どんなものに多く含まれるのか
ガンを自殺に導くという発表は、宝酒造がガゴメコンブから3種類のフコイダンを見いだした研究によるものです。ガゴメコンブは、北海道で採れるコンブで、ヌメリが多く、松前漬けによく用いられるものです。
ヒバマタは、ノルウェーなどの北欧、北海道、カラフトなどに群生しており、亜鉛をはじめミネラルが豊富。これからとれるフコイダンは化粧品に最もよく使われています。特に、亜鉛の多いノルウェー産を加工した栄養補助食品は、血糖値の上昇を抑制し、糖尿病を改善する効果が知られています。
フコイダンがずば抜けて多いのが、オキナワモズク。コンブに比べて5倍ものフコイダンがあるといわれています。沖縄の特産品としても有名で、国内のモズク生産量の9割を沖縄産が占めます。オキナワモズクのフコイダンは、抽出しやすく、ガンの壊死効果、コレステロールを下げる効果、アレルギー抑制効果、特に、胃潰瘍に効果があるといわれています。
モズクに次いでフコイダンの多い、ワカメのメカブも注目されています。
これらの褐藻類はそれぞれ、健康食品、サプリメントとして、各社が研究し、商品化されています。
沖縄は日本のなかで最も長寿の人が多い県。オキナワモズクを食べているからと考えると、納得します。日本人はもともと海草類を多く摂る国民で、50歳以上は1日7〜8gは摂っていますが、食の欧米化で、年代が下がるほど摂取量は減っています。これからの食卓には、コンブ、ワカメ、モズクなどをできるだけ取り入れましょう。
---2001.2.24 (c) 2001 by Mica Okamoto ---
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