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[No.059: 突然眠ってしまう病気「ナルコレプシー」]


 春は体がだるくて、頭がボーッとする日が多いもの。退屈な授業や会議だとつい居眠りしたくなりますが、大事な会議や商談の途中に、瞬間的に眠ってしまう病気があります。睡眠障害の一種である「ナルコレプシー」について紹介します。

■ナルコレプシーとは?

 ナルコレプシーは、日本語で「居眠り病」といわれる、睡眠障害の一種です。
 最も基本的な症状は、昼間に強い眠気が繰り返し起こり、どうしても耐えられない「日中の眠気」です。食後や睡眠不足のときに、誰でも眠くなりますが、ナルコレプシーの場合、睡眠不足や満腹、意志とは関係なく眠気が襲ってきます。しかも一日に何度も眠くなり、その状態が最低3ヶ月以上続きます。

 なかには、耐えられない強い眠気で突然に眠りこんでしまう「睡眠発作」をともなうこともありますが、ほとんどの場合、緊張が強ければ何とか耐えられるくらいの眠さです。眠気の強さは、健康な人が48時間眠らなかったときに感じる程度だといわれています。

 居眠りの発症に男女差は見られませんが、10代、特に15歳前後にピークを示し、5歳でも40歳以上でも発症する例もあるようです。

 原因はまだはっきりしていませんが、ナルコレプシーによく似た症状を起こすネズミを遺伝子操作で作り出すことができたという報告があります。睡眠についての研究は盛んな一方、睡眠障害の研究は遅れているのが事実です。

■医師間でも知られておらず、社会的に理解されにくい

 このような症状が起こっていても、自分が病気だと意識がなく、「ただの寝ぼすけ」程度にしか思っていない人が少なくありません。頻繁に眠くなるので、眠いという自覚がなくなってしまうこともあります。また、子どものころに発症しても、「よく寝る子ね」で片づけられてしまうことも多いようです。

 仕事中に眠ってしまったり、眠気でミスを重ね、解雇されるケースも少なくありません。病気について家族も含め、周りに理解される人が少なく、社会的に不利な立場に追い込まれ、苦しむことが多いようです。

 また、医師の間でも、ナルコレプシーについてあまり知られていないのが実状です。眼科、内科、耳鼻咽喉科、脳神経外科とたらい回しになったあげく、「何の異常もない」と診断されてしまうのです。

■睡眠障害の専門医にかかる

 睡眠障害の専門医にかかることが最もよい方法ですが、国内にはとても少な いのが実状です。

 この病気に詳しい東京都新宿区にある清和病院の本多裕院長によると、「昼間はウトウトするから、夜に目を覚ましてがんばって仕事しようとすると、夜に睡眠不足になり、悪循環を招きます。夜はしっかり眠ったうえで、昼間の眠いときには薬で目をさめさせると効果があります。今のところ、根本治療はありませんが、薬物療法をしながら、社会的にサポートしていくことが必要です」。

 仕事は、自分で時間をコントロールできる自営業や自由業について、眠くなったら、短時間でも眠るようにしたり、会社では、フレックスタイムなど時間が自由な職場に配置してもらい、昼寝を2回くらいとるように。運転手や長距離運転、高所での作業、危険な仕事などは避けたほうがよいそうです。

 潜在的な患者は日本で20万人近いと推測されていますが、治療を受けているのは、3000人程度といわれています。周りにこの病気の疑いがある人がいる場合は、専門医にかかるようすすめるとともに、病気への理解を示し、サポートする人が増えてほしいと思います。

ナルコレプシー患者の会「なるこ会」には、ナルコレプシーについての詳しい情報や睡眠障害専門病院のリストもあります。

---2001.3.31 (c) 2001 by Mica Okamoto ---

 

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