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[No.109 : マイナスイオンは健康によい?]


 最近、マイナスイオンを謳った商品が注目されています。エアコン、空気清浄機、加湿器、ヘアドライヤーなどの家電製品の他にも、衣類、布団、ネックレス、文房具、歯ブラシ、飲料水などその種類は多様です。100円ショップで売られているブレスレッドをいくつもつけた人もよく見かけます。

 これらの商品から発生するマイナスイオンは、リフレッシュ効果、安眠、精神安定などの健康効果をもたらすといわれています。しかし、どれほどの効果があるのでしょうか?

■マイナスイオンとは

 エアコンで宣伝されたマイナスイオンとは、「空気中に漂っているマイナスの電荷をもつ微粒子」のことを指します。そもそもイオンとは、「電荷をもつ原子。または原子団(分子を含む)」のことで、原子や原子団が電子を失うとマイナスの電荷を持つ陰イオンになり、電子を得ると陽イオンになります。

 理科の実験を思い出してみるとわかります。食塩の水溶液は電気を通しますが、これは食塩がプラスのナトリウムイオンとマイナスの塩素イオンに分かれるから起こることです。

 空気中にもわずかなイオンが存在しています。ただし、自然に発生している大気中のマイナスの電荷をもつイオンは、化学的な実体はまだわかっていません。つまり、”マイナスイオン”という言葉は科学的な用語にはなく、商売用としてつくられたキャッチフレーズなのです。

 滝の周辺や森林のなかでマイナスイオンを測定すると、他の場所に比べて多く存在し、一般的に滝や森林など自然の多い場所は人にとって快適な場所です。これらを結びつけて、マイナスイオン=健康になれる、という図式がつくりあげられ、人工的にマイナスイオンを作り出せば、快適になれるにちがいないという考えで、次々に商品が生み出されてきたのです。

■人工的なマイナスイオン

 マイナスイオンの発生のさせかたは、それぞれ商品によって違います。
 エアコンでのマイナスイオン発生方法は2種類あります。
 針状の電極に高電圧をかけて放電を起こさせると、マイナスの電子が空気中に放出され、この電子が空気中の水滴などに付着してマイナスイオンができる方法が”放電式”。もうひとつは、水を加圧スプレーで噴霧させ、小さな水滴にマイナスの電荷をもたせ、それが空気中に放出されてマイナスイオンとなる”水破砕式”です。

 これらの人工的に作られたマイナスイオンの化学的実体ははっきりしていません。自然に発生した大気中のマイナスイオンと人工的なマイナスイオンのどちらも物質として解明されていないため、同じものかどうかも判断できません。

 多くの家電のイオン発生メカニズムの多くは放電によるもので、オゾンが出ている可能性が高いのです。オゾンは活性酸素そのもので、労働環境での基準値が決められている有害物質です。もっともオゾンには脱臭・殺菌作用があり、この作用が有害なのですが、これが害虫退治など空気をきれいにするのは確かです。

 また、トルマリンなどでがイオンを放出するとされるアクセサリーは、人間にどのような影響を与えるかの化学的データはありません。トルマリンなどの鉱物を入れた水をマイナスイオン水として売られていますが、空気中のマイナスイオンと同じかどうかは判別できません。

 マイナスイオンの定義がはっきりしないため、その企業なりの見解で、マイナスイオンを定義づけて関連商品をつくっているのです。また、企業はそれらの商品の利用した人に対して健康状態の変化の調査もしていないため、健康によいのか悪いのかさえも現状ではわかりません。

 なにかと健康に気を遣わないといけない現代ですが、マスコミにあおられ、科学的根拠の乏しいの情報をうのみにしないように気をつけたいものです。

---2003.5.31 (c) Mica Okamoto ---

 

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