[No.113 : にがりブーム]

　最近の「にがり」ブーム。元々、豆腐を作るときの凝固剤として利用される程度だった「にがり」ですが、便秘改善、肥満防止やアレルギー体質の改善などの健康効果の高い食品として人気を集めています。

▼「にがり」とは

　「にがり」は、海水を濾過した後、煮て濃縮し、そこから塩分を取り除いた後に残った液体です。マグネシウムを中心に、ナトリウム、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛など、80種類以上のミネラルが含まれます。

　ナチュラルミネラルウオーターにも同様のミネラルが含まれますが、にがりはミネラルウオーターの数10〜数100倍もの量のミネラルを含みます。現代人に不足がちのミネラルが豊富に含まれていることが、健康によいといわれる理由です。

▼さまざまな健康効果

《便秘改善効果》

　便秘改善は、にがりの効能のひとつ。にがりの主成分のマグネシウムには、腸で水分を吸収し、便を軟らかくして排泄しやすくする効果があります。
　個人差もありますが、３日間にがりを摂ることで、便秘は改善し、１〜２kg体重が落ちるという例もあります。
　ただ、マグネシウムは、市販の便秘薬に使われる物質なので、にがりを摂りすぎると、下痢を起こす危険があるので要注意。

《肥満防止効果》

　マウスを使った実験によると、にがりは体内の脂肪の吸収を遅らせる効果があることが報告されています。また、代謝酵素の働きが活発になってエネルギー消費量が高まるため、脂肪燃焼の効果も期待できます。

《アレルギー体質改善》

　アレルギー体質の人の体内に、アレルゲン（アレルギーを引き起こす物質）が入ると、ヒスタミンという化学物質を排出し、アレルギー症状を引き起こします。にがりには、ヒスタミンの排出を抑制する効果があるといわれています。
　またビタミンやミネラルの不足もアレルギー症状の原因になっているため、にがりを摂ることでミネラル不足も解消されます。

《美肌効果》

　にがりには、肌の保湿力の重要な役割をもつセラミドが増え、保湿力がアップする作用があるため、にがりを水で薄めた「にがりローション」を使うと効果が期待できます。このローションは即効性があり、使い始めて数日程で効果が現れます。

▼利用方法

《食べたり飲んだり》

　１日１ml、水滴状で出てくるものなら15〜20滴が目安。それ以上の使用は、下痢などを引き起こす危険があります。
　コーヒーやお茶、みそ汁やスープには、１回に１〜３滴。にがりは、水よりも比重が重く、下にたまりやすいので、よくかき混ぜて使いましょう。
　ご飯を炊くときには、米１合に１滴、煮物には数滴。マグネシウムやカリウムには、味をまろやかにする働きもあります。
　また、水１Ｌに、にがり２〜４mlを入れた「にがり水」を飲んでもいいでしょう。冷蔵庫で保管し、飲む前によく振ってから。１日に１Lを目安に何回かに分けて飲みます。

《にがりローション》

　　水１Lににがりを３〜８ml入れます。飲用の２倍程度の濃度に。スプレー容器に入れてふきつけたり、手にとって肌にぺたぺたとつけた後、軽くなじませるようにこするのがポイント。
　また、お風呂ににがりを入れるのも、美肌効果が期待できます。200Lの浴槽に18〜25mlが目安です。

　最近、天然塩が人気ですが、天然塩には海水のミネラルがそのまま入ってい ます。1971〜1997年まで、旧専売制の下で食塩の製法は統一されていて、海水 に含まれる様々なミネラルを除去していました。日本人は30年間もミネラルの ほとんどない塩を食べていたせいで、多くの人にアレルギー体質や肥満などの 生活習慣病を招いたという説もあります。

　昔の食事には自然に栄養が摂れる仕組みがありました。その恩恵を再び受け るためにもにがりを生活に取り入れてみたいですね。

---2004.3.15　(c) Mica Okamoto ---