目を潤わせている涙の量はどれくらいかご存じですか?
涙は約7μl(1μl=100万分の1)の量で、常時角膜の表面に50分の1mmほどの厚さの膜をつくっています。目薬の1滴が30〜50μlですから、涙の量はおよそ5〜7分の1。これは「基礎的な涙」と呼ばれ、目を保護すると同時に目に栄養を与える役割を持っています。
基礎的な涙が不足するのが「ドライアイ」です。目の疲れ、いわゆる眼精疲労の最も多い原因はドライアイで、全体の60%を占めます。
■女性に多いドライアイ
「日本眼科医会」が2003年に1025人を対象に行ったドライアイの実態調査によると、ドライアイの人は男性約23%に対し、女性約41%と圧倒的に多い結果が出ました。
女性にドライアイが多い理由として、目の表面に油層を形成して涙が蒸発するのを防ぐ「マイボーム腺」の働きが男性より弱いといわれていますが、はっきりとした報告はまだありません。
また、コンタクトレンズを利用する女性にドライアイが多いという結果も出ました。
コンタクトレンズをしていない場合、ドライアイの男性は約23%、女性は約36%。コンタクトレンズ利用者だと、ドライアイの男性は約26%ですが、女性はほぼ半数にも上りました。
■蒸発亢進型ドライアイ
パソコンなどで日常的に作業する人は、涙が正常に出ているのに乾くのが早い「蒸発亢進(こうしん)」と呼ばれるタイプが多く、この調査の85.5%があてはまりました。ただ、「蒸発亢進」型のドライアイは、涙が早く乾燥するだけで、目の機能そのものには異常が発生しているわけではありません。
このタイプは、薬局などで売られている人工涙液を使って涙を補えば、違和感は解消することができます。人工涙液は防腐剤が入っていると目を傷つける心配があるので、防腐剤の入っていないものを使うとされています。人工涙液は、午前の仕事中に2回、午後から2回、帰宅後2回くらいのペースで使うのがおすすめです。
また、目に負担をかけない環境づくりも大切です。
直接エアコンの風が顔に当たらない調節する。
加湿機を使って部屋の湿度を60〜85%に保つ。
パソコンなどのディスプレーを見る作業時には、1時間に10分は目を休ませる。
視線が斜め下に向かうように、ディスプレーを低い位置に置く。
上部とサイドに肌に密着するカバーがついた涙の蒸発を抑える保護用鏡をかける。
資料を見ながらワープロやパソコンを打つときは、ディスプレー、キーボード、資料を目から等しい距離に配置すると、視点を変えるたびにピントを合わせる労力が減り、目が疲れにくくなる。
ドライアイになると栄養が十分に行き渡らず疲れやすくなり、外部からの刺激によって傷も受けやすくなります。「蒸発亢進型ドライアイ」は、抜本的な治療法がないだけでに、本人の自覚と予防が大切です。常に目が乾かないよう、疲れさせないよう心がけましょう。
■目のケア
眼球を上下左右やぐるぐる回す眼球体操は効果的。
目頭、目尻、こめかみ、首筋などのマッサージやツボ押し。ただし、眼球は強く押さえすぎないように。
ホットタオルで目を温めると血行がよくなります。
目によいビタミンAやβーカロチン、ビタミンCを多く含む食品を摂りましょう。
夜更かしは避け、週に2、3回”休眼日”を設けましょう。