強烈な疲労感や脱力感、頭痛や筋肉痛に襲われ、今まで普通にできたことができなくなる。休養をとっても症状は回復せず長引き、病院にいっても原因がわからず、体調は不調のまま・・・こんな症状が続く「慢性疲労症候群(CFS:Chronic Fatigue Syndrome)」の人が増えています。
1985年、1999年に行われた厚生労働省の調査などでは、約6割の人が疲労を感じていると答え、85年には「一晩眠れば回復する」と大半の人が答えたのに対し、99年では6割の約半分以上の人が6ヶ月以上疲れが続いていると答え、疲労の質が変化してきているのがわかります。
「慢性疲労症候群」の原因について「過剰なストレスによって免疫機能が下がることで起こるのではないか」と大阪市立大学の倉垣弘彦客員教授はいいます。他にウイルス感染を要因とする仮説もあり、様々な要因が絡んでいるため、まだはっきりと解明されたわけではありません。
この病気は、疲労が溜まり過ぎて、免疫力が落ちているところに、風邪やインフルエンザなどの他の病気になり、その病気が治っても普通の状態に戻らないといった状況でわかる場合もあります。
回復すると今までの遅れを取り戻そうと頑張りすぎて再発したり、病院を転々としても原因がわからず不安になり、うつなどの精神疾患を伴う場合もあります。
まずはストレスを溜めないことが一番です。徐々に溜まっていくストレスはなかなか気づかず、ただの疲れだと軽く見がちです。また、疲れを自覚すると精神的に負担になるので、忙しさに流されながら疲れをあえて感じないよう自分をだましだまし過ごしている人も少なくありません。
日頃から身体の状態をチェックし、軽い運動で身体を動かしたり、人と会って食事をしたり大いに笑うなど、自分なりのストレス発散方法を身につけ、ストレスを溜めすぎないことが、最大の予防になります。
■慢性疲労外来
大阪市立大学医学部では2005年5月12日から「慢性疲労外来」が設置されました。この病気を診断するために、血液やホルモンの検査、心電図、指の脈拍から自律神経を調べたり、数字を指で触り脳の分析を行ったりする検査機も用意されています。ビタミンや漢方薬を内服する治療などが行われます。
疲労外来への受診は、現在までの経過とかかりつけ医による慢性疲労症候群の疑いという判断が必要となるため紹介状が必要となります。詳細は直接、大阪市立大学医学部附属病院疲労クリニカルセンターにお問い合わせ下さい。
▼関連サイト
文部科学省「みえてきた疲れのメカニズム」
慢性疲労症候群とその関連疾患に関する情報提供