夏、汗をかく季節には体臭が気になります。日頃から気になっていたニオイをがまんできず、「パパ、クサイ!」なんて、娘に言われたりする人もいるのでは? なぜ男性のほうが体臭がきつく、オヤジ臭がするのでしょうか?
■体臭の原因は?
体臭の原因は汗といわれますが、厳密にいうと、身体全体から発散される汗臭、皮脂臭のほか、頭髪臭、口臭、腋臭、足臭など身体の特定の部分から発せられる臭気が混合した結果起こります。
汗には2種類ありますが、エクリン腺から出た汗にはほとんどニオイがありません。一方、脇の下、乳輪、外陰部などにあるアポクリン腺から出た汗には、ニオイの元となる脂肪、鉄分、尿素、アンモニアが含まれているため、独特のニオイがします。また、雑菌が汗や皮脂に混じって繁殖するために、汗や皮脂がたくさん出ると、さらにニオイが強くなります。
体臭のできるメカニズムは誰でも同じでも、人種、遺伝、病気、食生活、常用薬、飲酒、喫煙、入浴回数、化粧品など、生活習慣によって、その人特有の体臭が生まれます。
■オヤジ臭の犯人は?
体臭に個人差があるとはいえ、オヤジ年齢の人には男女を問わず特有の臭気があって、これが他人を不快にするものであることは以前から知られていました。
そこで、資生堂がガスクロマトグラフィーという手法で研究した結果、オヤジ臭のニオイの犯人は、ノネナールという化学物質だということがわかりました。(1999年5月 資生堂、中高年特有の体臭を防ぐ新技術の開発に成功)このニオイは、「脂臭くて少し青臭い梅雨時の黴びた古本のような嫌なニオイ」と表現されています。
ノネナールは、皮脂に含まれる脂肪酸である「 9-ヘキサデセン酸(パルミトオレイン酸)」が酸化分解されたり、皮膚の常在菌によって分解されることで発生します。20歳代、30歳代の人の体臭からはほとんど検出されませんが、男女とも40歳を過ぎた頃から急増するため、若い時には臭わないのに40歳を超えるとオヤジ臭くなってしまうのです。そのため、「加齢臭」と呼ばれるようになりました。また、林原生物化学研究所の45〜75歳を対象にした試験でも、ノネナール、オクテナール、ヘキセナールと呼ばれる3種類の加齢臭の原因成分の生成が、50歳代後半から明らかに増加していることが確認されています。
■なぜ、男性だけオヤジ臭が強い?
「 9-ヘキサデセン酸(パルミトオレイン酸)」は女性も分泌し、加齢とともに増えるのですが、オヤジ臭は男性だけから出るニオイです。
その理由は、女性よりも男性のほうが皮脂の分泌が多いため酸化分解や常在菌による分解が促進されやすいことがあげられます。
また、老化を促進したり病気にかかりやすくなる元凶とされる活性酸素は、若い頃にはホルモンの働きで除去されています。しかし、加齢によってホルモンの分泌が減少し活性酸素が増えると、「 9-ヘキサデセン酸(パルミトオレイン酸)」の酸化が促進され、ノネナールを多く発生させてしまうのです。
このホルモンは、女性の場合は40代でも活発に分泌されていますが、男性の場合は40歳を超えると分泌が低下してしまいます。そのため、「 9-ヘキサデセン酸(パルミトオレイン酸)」が男女同じように増えても、ホルモンの分泌の違いによって、男性にノネナールの発生が多くオヤジ臭くなってしまうのです。
■オヤジ臭をなくすには
まず、身体を清潔を保つことが第一です。また、汗が付着しやすい下着や衣服などもこまめに洗濯しましょう。
- シャワーや入浴をこまめにする。
- 顔が脂ぎってきたら洗顔する。
- 汗がたまりやすい、首元や耳の後ろは念入りに洗う。
- 下着は毎日取り替える。
- パジャマ、シーツ、枕カバーもできれば毎日洗濯する。
- 皮膚に直接触れる衣服は、1日で取り替える。
最近は、「 9-ヘキサデセン酸(パルミトオレイン酸)」の酸化分解を防ぐチオタウリンなどの抗酸化剤を配合したボディーパウダー、ボディーローションなどが販売されていますし、制汗スプレーや汗を拭くデオドラント剤の商品数も増えてきています。上手に使って、オヤジ臭いといわれないよう心掛けましょう。