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子どもの健康情報【不眠が続く『フクロウ症候群』】


 突然、夜眠れなくなり、ボーッとした状態で朝を迎え、吐き気や高熱が伴う症状を起こす中・高生がいます。

 最初は風邪や疲れと見られていましたが、入院して検査をしたところ、「慢性的な疲労状態による睡眠障害」と診断されました。症状の現れたある高校生は、進学校に通い、学校から帰ると、夜12時過ぎまで頑張って勉強するという毎日を送っていたそうです。

「夜型生活に勉強のストレスが重なり、睡眠障害となった」と見られ、この症状は『フクロウ症候群』と名付けられました。年間250人ほどの不登校児を診察している医師によると、「7割があてはまる」と話しています。

 人間の脳は、周囲が暗くなると、脳内から脳に眠るべき時間を教える神経ホルモンの「メラトニン」が分泌され、眠って休養するように体に伝えます。そして、朝起きる前になると、「ベータエンドルフィン」という覚せいを促すホルモンが分泌されるなどして体を目覚めさせます。

 『フクロウ症候群』になると、生体リズムが狂うため、朝6時ごろ、メラトニン分泌が最高になったり、ベータエンドルフィンの分泌が午後になってからピークを迎えたり、分泌が悪くなったりすることがあり、昼夜逆転の生活や不眠を引き起こしてしまいます。

 また、ベータエンドルフィンはモルヒネのように、痛みを和らげる働きがあるため、分泌が悪いと頭痛や関節痛などを起こすので、当然、十分な休養がとれず、やる気がなくなり、イライラしたり、考えがまとまらず言葉に表せなかったりという状態に陥ります。頭と体が正常に働いていないので、めまいや立ちくらみ、耳鳴り、人に会うのがつらいなどと訴えることも多くなります。

メラトニンを投与して睡眠の適正化を図る治療を続ければ、徐々に好転するそうです。

 『フクロウ症候群』の子どもたちの昼間の脳内血流を調べると、前頭葉と後頭葉の血流の低下が多く見られました。前頭葉が不活発になると、衝動の抑制、物事の判断に支障が出るため、「キレる」行動につながる可能性も考えられます。

 学校に行くだけで、クラスの雰囲気や友人に合わせようと気遣い、塾に通い成績で親に気遣う子どもたちは、常に緊張状態でストレスをため込んでいます。休まる暇のない今の子どもたちが、リラックスできる学校になり、子どもの心を豊かにできる社会になってほしいものです。

参考:読売新聞 99.6.19


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