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【過食が起こるメカニズム】


 秋は何でもおいしく感じる季節。気がついたら食べ過ぎていたなどという経験をされた方も多いでしょう。そこで、今回はなぜ過食が起こるのか、そのメカニズムについてお話をしたいと思います。

■食欲のメカニズム

 食欲は、脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢という2つの中枢によりコントロールされています。つまり、空腹感や満腹感、もっと食べたいという思いは、この2つの中枢の働きにより起こるわけです。

 胃が空っぽになったり、脳内に糖(糖は脳の唯一の栄養源)がなくなると、摂食中枢が刺激されます。その結果、食べたいという欲求が起こります。

 また、食事をして胃が食べ物でいっぱいになったり、脳に十分な糖分がたどりつくと、脳内にあるセロトニンというホルモンが分泌されたり、血糖値が上昇します。これらが満腹中枢を刺激しお腹いっぱいだと感じます。こうして私たちは、空腹感や満腹感を感じるわけです。

■本能による食欲

 食欲がわくのは摂食中枢と満腹中枢がきちんと作動していて健康な証拠。食欲がわかなければ物を食べることができなくなり死んでしまいます。つまり、食欲は生きていくうえで必要な欲求で、なくてはならないもの、つまり本能なのです。

■本能以外の(必要以上の)食欲

 お腹いっぱいなのに、食後にケーキをパクパク食べる女性や、たくさんお酒を飲んだ後にラーメンを食べに行く男性は、よくいますよね。お腹いっぱいなのに食べるというのは人間ならでは行動で、これは本能ではなく必要以上の食欲ということになります。

 問題なのは、このように食欲のコントロールができなくなり、必要以上に食べてしまうことです。これは、次のような原因によって起こります。

【1.脳内の神経伝達物質ドーパミンの過剰分泌による】

 食事をすると、脳内にあるドーパミンというホルモンがたくさん分泌されます。ドーパミンが分泌されると、摂食中枢を刺激し、食欲がわいていきます。ちょっと食べると、よけいにお腹がすいてくるというのはこのためです。ところが、このドーパミンは食事以外の刺激によっても分泌されるのです。

 自分の好きな食べ物の写真やCMを見たり、おいしいレストランの話を聞いたり、焼き鳥の焼ける匂いをかいだり、そんな刺激によってもドーパミンは分泌されます。また、好奇心旺盛な人の場合、限定品、産地直送という文字に惹かれてドーパミンが分泌されますし、経済観念が発達している主婦などの場合は、激安、食べ放題、半額などの文字に惹かれてドーパミンが分泌されます。このようなドーパミンの過剰分泌が、本能の食欲バランスを狂わせ、過食行動に走らせるわけです。

 さらにドーパミンはストレスにより分泌過剰になることもあります。このため強いストレスを受けている人は、過食に走りやすくなります。

【2.脳内の神経伝達物質セロトニンの過剰減少による】

 ストレスによりドーパミンは、分泌が過剰になりますが、反対にセロトニンは分泌量が減ります。このため満腹を感じなくなり、どんどん食べてしまいます。また、セロトニンは、気持ちを穏やかにする働きがあるため、分泌量が減るとイライラしやすくなり、過食にさらに拍車がかかります。

【3.血糖値のセットポイントのずれ】

 通常、食事により血液中のブドウ糖濃度が上昇し、血糖値が130mg/dlに達すると、満腹中枢が刺激され、食欲が抑えられますが、ストレスのある人や、太っている人は、この満腹中枢を刺激する血糖値のセットポイントがずれてしまい、満腹感を感じなくなります。食べ続けることによって血糖値は、どんどん上昇し、それにともないインスリンも、たくさん分泌されます。インスリンに は食欲増進作用があるため、ダブルパンチで食欲にブレーキがかからなくなります。

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 ここ10年間で、このように食欲をコントロールできなくなった人は倍以上にもなっています。これは、情報が氾濫する世の中で食欲を増すような刺激が多すぎるのも大きな要因ですが、最も大きな要因はストレスを感じる人が増えたためだと考えられます。食べ過ぎを避けるためには、ストレスをうまくコントロールしていくことが重要なようです。

---2000.10.24 (c) Mari Wakasugi ---


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