ストレスが溜まると身体のあちこちが不調になる。ストレスによる緊張で、頭痛、肩こり、首の凝り、胃痛、不眠……過敏性腸症候群は、原因がストレスによるものだとされている。ストレスの溜め方により不調の出方は人それぞれだが、もっと根本的な免疫力が下がるという報告がある。

　ストレスと風邪の因果関係を調べたアメリカの研究で、約400人に一緒に生活してもらい、各人のストレス度を計測。そのうえで、全参加者の鼻の粘膜に同じ濃度の風邪のウイルスを塗りつけ、風邪にかかる割合を調べたというもの。

　結果はきれいな比例関係にあることがわかり、風邪にかかったことを示す抗体値もストレスの程度に比例して上がっていた。ストレスという精神的な反応と風邪という身体的な反応が免疫の働きを介して大きく関わりあって同時に起きていることがわかる。

　その後も免疫の働きと精神状態の関係の研究は盛んに行われている。鬱病にかかっているときと回復したときとでは、免疫の働きが明かに違うこともわかっている。ストレスが溜まり精神的にまいっているときは、元気なときには全く関係のない病気でさえ寄せ付けてしまうのだ。

　一方、笑うことでストレスを発散し、病気さえも克服した人もいる。アメリカのノーマン・カズンズという編集者は、膠原病で医師に治らないといわれていたにも関わらず、喜劇映画やユーモア本で徹底して笑いを生活に取り入れ、数ヶ月で完治してしまった。その体験を元に、笑いの効用を研究し、「笑い療法研究学会」も結成している。

　日本でも吉本新喜劇を見て大いに笑った後、ガン細胞を先制攻撃する「NK細胞」の活性を測ると、多くの人の数値が上昇したという結果が出ている。また、実際にワハハと笑わなくても、笑顔を作るだけで免疫力が上がるという研究結果や、好きなことをして快感や幸福感を得るだけで病気にかかりにくくなるという結果もある。笑ったり快感を得て楽観的な思考になるだけでも免疫力はアップするのだ。

　普通に生活するだけでもストレスが溜まりやすい現代社会。くだらないギャグやダジャレが蔓延し、笑うチャンスは多くあっても、あまりのレベルの低さや見え見えの受け狙いに腹が立ちそうになることもあるだろう。でも、そんなときは健康のためにも、さらっと笑って流してしまおう。免疫力をアップさせ、健康を保つためにも、いつも笑い声の絶えない生活を心がけたい。

---2002.10.16　(c) Mica Okamoto ---