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[No.051: 成長ホルモンの恩恵]

 中学1年になった息子は朝起きるとすぐに身長を測る。6年生の頃から自分の身長が気になり始めたのか、時々測っていたが最近は朝の日課だ。壁に貼ったポスターに書き込むのは私の役目なのだが、少し前まで大して変化はなかったのに、最近は1日に1.5cm〜2cmも伸びているときもあり、今までチェックした箇所を大幅に上回ることもしばしば。

 4月にあった健康診断によると、13歳男子の平均身長は150cm、14歳になると160cmなのだという。ほとんどの子が1年で10cm程も伸びるのかと思うと、驚いてしまう。今どきの男の子は身長180cm以上がモテる要素の1つらしいので、大きくなるために、とにかくたくさん食べろと促している。

 成長ホルモンは、脳の視床下部で作られ、血液にのって全身に運ばれるが、絶えず分泌されているわけではない。運動後と睡眠中に分泌される。 睡眠に入って30分程度で深い眠りであるノンレム睡眠に入るが、そのとき、成長ホルモンの分泌量は最大になる。この時点から3時間ほどの間に骨や筋肉が作られていくため、この時間帯が1日のうちで最も身体を作る時間になる。息子の身長が朝起床時にあれほど伸びるのも納得できる。

 成長ホルモンの分泌のタイミングを筋肉づくりに利用する人も多い。
 運動すると筋肉は刺激を受け、筋線維が目に見えないレベルで傷ついたり、切れたりするため筋肉痛が起こる。成長ホルモンは傷ついた筋繊維の修復を促進する作用があるため、毎日筋力トレーニングを続けると、筋肉が傷つき、それを修復する生体反応が繰り返されることになる。この破壊と修復の繰り返しで、再生した新しい筋線維は、より強い負荷に耐えられるものとなる。

 成長ホルモンはその名の通り、体の成長を促す役割をしているが、具体的には、タンパク同化作用、脂肪分解作用、骨伸長作用、皮下組織水分貯留作用などがある。

 このホルモンの量は、13〜17歳にピークに達した後急速に低下し、20〜29歳で半減し、30歳以降は10歳ごとに約25%ずつ低下していくといわれている。

 20歳ごろまではみずみずしい素肌だったのが、お肌の曲がり角といわれる25歳頃を過ぎると年齢とともに肌に弾力がなくなりシワが目立ち始めるのも成長ホルモンの水分を保つ作用が衰えるからなのだ。

 アメリカでは、若返りや背を伸ばすのを目的として、成長ホルモンの注射がクリニックで行われている。日本でもあるようだ。

 低身長の子どもに成長ホルモンを投与して、成長ホルモンが大量に分泌される時期に足りない分を注射で補う「成長ホルモン療法」というものがある。かつては、猿の成長ホルモンを使っていたが、大量採取ができないため、治療数が限られるということで、最近は遺伝子組み換え技術によって作られた遺伝子組み替えヒト成長ホルモンを使っている。これで成長障害の人の多くが治療を受けられるようになった。

 これは正しい使われ方だと思う。しかし、老化防止や長身目的での投与は、いくら副作用が少ないとクリニックが声高にいってもどこか腑に落ちない。身体が本来必要としない時期に成長ホルモンを投与すると、身体のバランスが崩れ、正常な器官にも悪影響を与える怖れは十分にあるのではないだろうか。

 加齢とともにいろいろと不都合は出てくるが、それも人として生きてきた自然の成り行き。自然の摂理に逆らってまで生きようとすると、どこかでひずみが出て来るに違いない。年をとるのは仕方のないこと。自らの加齢に焦点をあてて嘆くよりも、子どもの成長などもっと他のことでいい精神状態をつくることに力を入れたほうがいいような気がする。

---2003.5.7 (c) Mica Okamoto ---

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