[No.003: 肩こりは現代病 ]
冬になると肩こりに悩まされる人が多いのではないでしょうか。肩だけでなく首筋、首のつけ根、背中までガチガチになり、頭痛やめまい、吐き気まで起こすこともあります。
◆なぜ肩こりは起こるのか
もともと人間は四本足の体の構造をしているのに、ニ本足で直立歩行するようになり、肩や首の筋肉には過剰な負担がかかっています。重力に抵抗しながら、頭や上肢を支えているうえに、立ったり座ったり、手に何かを持ったり、手を動かすことで、さらに筋肉に負担がかかるため、肩は常に過労に陥りやすい状態です。肩こりは人間の宿命的なものでもあります。
肩こりが起こる要因は大きく3つのタイプにわかれます。
- 猫背、前かがみやなで肩などの身体的な要因
- 緊張しやすい、完全主義、情緒不安定など精神的な要因
- 同じ姿勢で長時間過ごす、手作業が多い、筆圧が高い、筋力不足などの習慣や環境からくる要因
この他に内臓や目、歯の病気の兆候として起こる場合もあります。
◆肩こりになりやすい現代の生活環境
最近は年齢を問わず肩こりの人が増え、中学生・高校生の3割が肩こりを訴えるほど。これには現代生活の社会的環境に原因があるようです。
長時間同じ姿勢でのOA作業や車の運転、テレビゲームはまさにそのもの。情報量が多く目や脳への感覚器や神経などへの負担が増え、ストレスや疲労から筋肉の緊張や自律神経の不安定を引き起こすことも少なくありません。また飽食の時代で過剰に栄養を摂り過ぎたり、偏った栄養のうえに、精神的疲労が重なることもしばしば。現代には身体の状態がアンバランスになる要因が、たくさんあります。
また、交通の発達や機械化のための運動不足で起こる筋力や筋持久力の低下も大いに関係があります。すぐに「疲れた」と地べたに座りこむ若者に代表されるように、基本的な筋力不足の人も目立ちます。ちょっとしたことで精神的、肉体的に緊張し疲れやすく、姿勢が悪いのも肩こりが発生しやすい一因です。
◆日常生活から予防を心がけよう!
病気が原因以外の一般的な肩こりは、日常生活を注意すればかなり防げます。注意するポイントをあげてみました。
- 正しい姿勢〜猫背は禁物。あごを引いて胸を張り、重心をまっすぐに。
- 肩周辺の筋をゆるめる〜長時間同じ姿勢を続けない。作業をする場合はこまめに休憩を。肩・上肢のストレッチや、ひじ掛け、手すりなどを利用して肩の負担を減らす。パソコン利用時は手首の下にものをおく。
- 適度な運動〜散歩やウォーキングなど無理なくできる運動で日頃から筋力を鍛える。マッサージなど受動的回復より、自分で運動する積極的回復のほうが効果あり。
- 入浴〜体を冷やすと筋緊張が起こるため、温めるのが一番!
- ストレスをためない〜精神的な緊張をしないよう、リフレッシュ&リラックスを心がけて。
あまりにもひどい苦痛が伴う肩こりが長引く場合は、整形外科などで診てもらうのをおすすめします。しかし、ほとんどの場合、日頃のライフスタイルを見直せば、肩こりは予防できるものまです。筋力アップと精神的なゆとりを心がけて、肩こりを予防しましょう。
---2000.1.29 (c) 2000 by Mica Okamoto ---
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