[No.021:一人暮らしの食生活]

　４月になって一人暮らしを始めた人は、ようやく２ヶ月がたつころですね。環境や食生活の変化で体調などを崩していませんか。

■バランスのいい食生活をしていますか？

　大学で親元を離れて東京で１人暮らしをしていたある男性が、卒業前の就職のための検診で、尿に糖がたくさん出ているのがわかったそうです。その男性は、郷里の水と違うといってジュースやスポーツドリンクを水代わりに飲み、食事はコンビニ弁当やカップ麺がメインだったとか。

　コンビニ弁当はいろいろな種類のおかずが入っていて一見バランスよく見えますが、大体は野菜不足で新鮮な材料が少ないため、炭水化物や油分はとれても、ビタミン・ミネラルが不足がちになります。また、味が濃いめで、保存料や着色料などの添加物がたくさん使われています。

　また、清涼飲料水には思ったより、糖分が多く含まれています。ポカリスェットなどのスポーツドリンクの500ml１本に含まれる糖分は30ｇ前後で、コーヒーに入れるスティックシュガーに換算すると約10本分になります。果汁入りの清涼飲料水だと、糖分はさらに多くなり、500ml１本を飲むとを茶碗一杯分のご飯のエネルギーと同じくらいになります。

■栄養のアンバランスによる症状

　まず、糖分や油分が多いと、肥満の原因になります。肥満は高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病の原因となります。また、塩分の摂りすぎも生活習慣病の要因になります。

　清涼飲料水の糖分はご飯などの炭水化物が分解されてできる糖類よりも吸収が早く、吸収の早い糖分を多量に摂取すると血糖値が急激に上がり、それを下げようとするためにインスリンが大量に出すぎてしまい、今度は血糖値が急激に下がります。このため脳にエネルギーが不足し、イライラや集中力の低下、食欲不振に陥ります。

　添加物としてよく使われるリン酸塩は、骨のカルシウムを血液に溶け出させてしまいます。これによって、身体はカルシウム不足になり、骨や歯が弱くなるだけでなく、イライラや情緒不安定、気分が落ち込んだりします。また、合成添加物や人工的に加工されたものを体内にとりいれると、活性酸素が過剰に発生し、さまざまな病気の元になります。

　他にビタミンＡやカロチンが不足すると目に影響が出たり、ビタミンＣ不足で吹き出物や肌荒れになったり、それぞれのビタミンやミネラル不足によって症状も出ますが、概して疲れやすく、ストレスがたまりやすくなります。

■お茶とみそ汁

　毎食自炊するのが理想ですが、よほどがんばらない限り１人暮らしではとても難しいもの。せめて、飲み物はジュースやスポーツドリンクをやめ、お茶やミネラルウォーターにしましょう。

　ご飯は糖に代わりますが、ゆっくり分解し安定したエネルギーを供給します。手軽に１人でもできる料理としておすすめは、みそ汁。野菜、海藻、卵、肉、魚をなんでもみそ汁に入れてしまうだけで簡単ですし、具だくさんにすれば、みそ汁とご飯だけの食事でも栄養はずいぶんカバーできます。

　また、空腹時に早食いをすると、必要以上にたくさん食べてしまうので要注意。１人暮らしだと食事時間も不規則になりがちですが、できるだけ決まった時間に食べるようにしましょう。

　１人で食べると味気ないもので、食事はただお腹を満たすだけのものという人が増えています。しかし、人間が生きて活動できる源は食事です。「健康のために心がけていること」について質問すると、女性は第一に、「食生活に気をつける」をあげますが、男性は「運動やスポーツ」をあげるそうです。どちらも大事ですが、男性は食事までなかなか気が回らないのが現状のようです。食生活が乱れると身体的にも精神的にも影響が出ますので、自分自身のためにもできるだけ気を使いましょう。　　　　　　　　　　　　　　　　　

---2000.6.3　(c) 2000 by Mica Okamoto ---