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[No.041:ピロリ菌を取り除いて潰瘍を治す]


 胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃の粘膜に感染するヘリコバクター・ピロリ菌が 原因であることがわかりました。欧米ではすでにピロリ菌除菌治療が勧められ ていますが、日本でも本格化しそうです。

■潰瘍の原因はピロリ菌

 お腹がシクシク痛み、げっぷ、胸やけに悩まされる潰瘍。潰瘍は胃酸が強す ぎるのが一因とされ、胃酸を抑えるH2ブロッカーなどの薬が治療に使われて きました。しかし、薬をやめると再発するため、薬を飲み続ける必要がありま した。

 10年ほど前に胃潰瘍などの消化性潰瘍は、胃の粘膜にヘリコバクター・ピロ リ菌が感染していることが原因であることが判明。ピロリ菌は胃に感染するら せん状の細菌で、オーストラリアの学者が見つけ、83年に報告されました。疫 学調査や動物実験では、胃ガンとの関連も疑われています。

■ピロリ菌の除菌治療で再発防止

 原因であるピロリ菌を退治する除菌療法が開発され、1週間の薬を飲むだけ の除菌治療で痛みも消え、再発を防げるようになりました。アメリカのデータ では、除菌療法で潰瘍の再発率が10分の1以下になることがわかっています。

 94年にアメリカで除菌を勧める文書がまとまり、96年にはヨーロッパでガイ ドラインができ、欧米では広く実施されています。一方、日本では除菌治療に 医療保険が適用されず、5〜10万円が必要でしたが、今年9月、厚生省は3種 類の薬の併用による除菌効果を承認しました。また、治療に欠かせないピロリ 菌検査薬の医療保険扱いも現在検討されています。

   承認に先立ち日本人の治療効果を調べた結果、胃酸を抑える薬1種(プロト ンポンプ阻害剤)と抗菌薬2種(アモキシシリンとクラリスロマイシン)の3 種併用を1週間続けたところ、約9割が除菌に成功。胃酸を抑える薬だけだと 除菌率は0でした。

■耐性菌に注意

 日本ヘリコバクター学会は診断と治療を検討し、6月にガイドラインを発表。 除菌の検査前後にピロリ菌の有無を調べるには、内視鏡検査、血液や尿の抗体 測定、尿素呼気試験などがあり、除菌判定には尿素呼気試験を含めるのがよい とされています。

 しかし、除菌治療が広がると心配も出てきます。患者が途中で薬をやめてし まうなど中途半端な治療だと除菌に失敗し、抗菌剤の効かない耐性菌ができて しまう可能性があります。また、下痢や味覚障害などの副作用が出ることも。

 日本でのピロリ菌感染者は約6000万人と推定され、胃潰瘍や十二指腸潰瘍 を起こすのは2〜3%。すべての人が除菌治療を受ける必要はありません。ま た、胃潰瘍だと思っていたら胃ガンだったというケースもあるため、心配な人 はまず内視鏡検査を受けたほうがよさそうです。新たな治療法だけに、よく理 解したうえで治療を受けることが大切です。

---2000.10.21 (c) 2000 by Mica Okamoto ---

 

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