[No.070: 冷房病に負けないで]
梅雨もあけ、夏本番の到来!こう暑いと、エアコンに頼らずにはいられません。でも、ずっと冷房にあたっていると、冷房病の心配が。今回は冷房病について取り上げてみました。
■熱を逃がす夏の体
私たちの体の体幹(頭・胴体)温度は、夏でも冬でも常に一定保たれています。そして手足が温度調節、いわばラジエーターの役目をしており、暑い夏には、手足の末梢神経が広がって熱を放ち、寒い冬には血管が縮まって熱を逃がさないようにしています。
体のなかでは、食べたものを燃やして熱を出す肝臓、大腸の腸内細菌、動かすと熱を出す筋肉の3カ所で体温をつくり、血液がそれを全身に運んで体を温かく保っています。
夏の体は、外気温が高いため、体内で熱を多く作らず、末梢神経が開くようにセットされています。大体6月ごろから夏の体に移行し、末梢血管が開いていきます。
冬ならば寒さを感じると血管がきゅっと縮むのですが、夏の体だと縮むのが遅れるため、冷えがたくさん体内に入ってきてしまいます。体熱を逃がそうとしている体になっているところに冷えが入るので、体は余計に冷やされてしまうのです。
■冷房病とは
冷房の部屋で長時間生活することによって起こる体調不良のことを「冷房病」といいます。
冷房によって体調が不良になるのは、外気温と室内の温度の差が大きすぎるのが原因です。冷房は急激に体を冷やすため、冬でもないのに末梢神経は急に縮める必要があり、暑い外に出ると血管を広げないといけません。
末梢神経の調節は、自律神経の交感神経の働きです。温度差が激しいと1日のうちに何度も交感神経を働かせてしまい、ひどいと自律神経失調症になることもあります。
自律神経のバランスが崩れると、体温調節がうまくできなくなるだけではなく、汗が出にくくなったり、胃腸が弱ったり、便通がうまくいかなかったり、不眠になったりと、体全体に影響が出てきてしまいます。その結果、疲れやすくなり、体全体の倦怠感、神経痛、生理不順なども起こります。
■冷房病対策
▼冷房病になってしまったら
まず、冷房のないところで過ごす時間を増やしましょう。最低でも、1日2時間以上は木陰などの冷房がなくても比較的過ごしやすい場所で、体調を快復させましょう。また、ぬるめのお風呂にゆっくり入って、汗が出てくるまで体の芯を温めるのも効果があります。
寝苦しいときは、就寝前に冷房や除湿を上手に使って、心地よく眠るのも大切です。きちんと睡眠をとることで、自律神経のバランスを快復させましょう。
ほかには、音楽を聞いたり、美術鑑賞、映画鑑賞など、自分がリラックスできる時間をもつことも大切です。
▼冷房病を防ぐには
夏はどんな場所でも冷房が入っているため、冷え予防のために、スカーフやカーディガン、薄い上着など1枚余分に用意しましょう。手足は多少冷えても大丈夫ですが、体幹を冷やさないことが大事。腹巻きも効果あり。
また、体力を落とさないように、食事のバランスを気をつけ、タンパク質や脂肪をきちんと摂りましょう。生野菜や冷たい飲み物は体を冷やすので、できるだけ減らしたり、同じ食材でも火を通したりしましょう。また、冷や奴を食べるときには、シソやゴマ、生姜などを使ったりして、体を温める香辛料を使うのもいいでしょう。
日常のちょっとした工夫で、日頃から冷房病に負けない体づくりが心がけましょう。
---2001.7.14 (c) 2001 by Mica Okamoto ---
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