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[No.079: PTSD〜心的外傷後ストレス障害]


 アメリカでは30年前から知られていましたが、日本では阪神大震災や地下鉄サリン事件でようやくこの病気が認知されるようになりました。6月の池田小事件でも多くの子どもたちに影響があると心配されています。

■PTSDとは

 英語の正式名称では「Post-Traumatic Stress Disorder」略してPTSDと呼ばれています。

 PTSDになるきっかけは、普通に生活している人には通常起こりえない、自分の生死が危ぶまれるような出来事を経験したり、目撃したりして、その出来事が心の傷(トラウマ)となって発病します。トラウマとなる出来事は、誘拐、強盗、交通事故、テロなどの犯罪、犯罪の目撃、肉親や友人の自殺の目撃、幼児虐待、性的暴行、家庭内暴力、生死に関わる病気の経験や手術、地震、洪水などの自然災害、戦争体験があげられます。

 症状は、感情の起伏がなくなる、生きている感じがしなくなる、すべてがわずらわしくなり対人関係を避ける、突然手が震えるなどの不安神経症、不眠や現実と夢の区別がわからなくなるなどの睡眠障害、拒食や過食、アルコール依存、パニック障害、記憶や時間の感覚がなくなるなど、人によって様々です。一言で言うと「今、自分がこの場所でこの人と生きている」という実感がなくなるのが共通しているといわれています。

 人間が生死に関わるような危険な状況に会うと、全ての感情をシャットアウトして、脳にアドレナリンという興奮ホルモンを分泌します。このホルモンのおかげで覚醒し、瞬時に現状を把握し、逃げる方向を決めたり、相手に立ち向かったり、自己防衛のためのとっさの判断をうながします。しかし、あまりにもひどい場合や長時間続くと、アドレナリンの分泌が異常になり、感情を制御しすぎ、感情を消してばかりになり、正しく判断できなくなってしまうのです。

 実際には同じような体験をしていても、発病する人としない人がいます。気の弱そうな人がかかりやすいかというと、そうでもないようです。いつも前向きでがんばる人が、人に頼らず自分一人で解決しようとして心が自爆してしまう場合も多いのです。被害のあとの対処方法や他のトラウマの関係、家庭環境なども作用してくるので、性格だけではいいきれません。

■治療法

 治療法には、トークセラピー、グループセラピー、自己暗示療法、睡眠療法、アニマルセラピー、プレイ(演劇)セラピーなどさまざまありますが、効果は人によって違います。なかでも、「EMDR」はアメリカで85%以上の治癒率が認められているもので、左右に振られるカウンセラーの手や棒を見つめながら、トラウマとなる出来事を思い出していく催眠療法に類似した治療法です。目を動かす事により、脳をレム睡眠の状態にさせ、トラウマを癒していく方法で、犯罪の被害にあったPTSD患者には効果的だといわれています。

 薬物療法では、PTSDは不安神経症の一部と考えられているため、精神安定剤や抗不安剤、抗鬱剤などを処方されるのが一般的です。また、睡眠障害がひどい場合には睡眠薬が処方される事もあります。

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 新宿のビル火災事件では救出を行った消防隊員がPTSDにかかったとされています。さらにNYのテロ事件では想像を絶する大勢の人が被害にあわれ、膨大な数のPTSDの患者を出すことになると思います。すでに現地の学校では、子どもたちへのPTSD対策のためにカウンセラーを派遣しました。

 日本は病気に対する認識も医療側の対応もまだまだ遅れています。アメリカでもPTSDの病気の解明は完全にされていません。この病気の解明が進み、治療法が早く確立して欲しいと望むと同時に、PTSDを起こす原因は、テロや犯罪、誘拐、強盗、虐待、性的暴行など、人的なものが多いだけに、そういう事件や出来事が減るような社会になって欲しいと願います。

---2001.9.15 (c) 2001 by Mica Okamoto ---

 

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