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[No.080: 狂牛病について]


 5年前に英国で狂牛病パニックが起こりましたが、日本でも今年、狂牛病感染の疑いのある乳牛が見つかりました。人に感染すれば死に至る病気を招く恐れがあるだけに、不安が広がっています。

■狂牛病とは

 病原体はもともと体内にあるたんぱく質「プリオン」。プリオンは、正常型と異常型がありますが、病原体となるのは異常型のほう。健康な人や動物の体内に入ると、正常型がどんどん異常型に変わっていくと考えられています。

 プリオンは97年に米カリフォルニア大サンフランシスコ校のスタンリー・プルジナー教授で、この発見によりノーベル医学・生理学賞が授与されています。

 プリオン病とされるのは、羊の狂牛病にあたるスクレイピー、人がかかるクロイツフェルト・ヤコブ病、クールー病などがあります。これらの潜伏期間は数年から数十年と長く、症状は脳がスポンジ状になることです。牛では、歩行困難、うまく立ち上がれないことが特徴的な症状です。

■治療法は?

 人間がヤコブ病になると、歩行困難から痴ほうへ進み、死亡に至ります。
 英国で食用にされた感染牛が推定70万頭とされるなか、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者は約100人しか確認されていないため、発病の比率からすると、日本で患者が出る確立はひじょうに少ないと見られています。

 プルジナー教授は、マウスの実験で、抗マラリア薬と精神分裂病の薬を組みあわせると、プリオンの増殖を抑えられることを確認しています。また、ほかにも抗体や遺伝子治療の開発が進んでいますが、決定的なものはまだ見つかっていません。

■なぜ広がったのか?

 狂牛病にかかった牛や羊の肉骨粉を牛の飼料に使ったことが、被害の拡大につながったといわれています。

 本来、牛は草食動物ですが、動物性飼料を与えると、短期間で高品質の肉や牛乳を得られることから、このような飼料が一般化しています。日本では、魚かすや植物性のものを利用しますが、英国では死んだ家畜などを使用したり、コスト削減のために、加熱処理を減らしたりしたことが原因になっているといわれています。現在、EUでは、肉骨粉を家畜の飼料にすることを全面禁止しています。

■牛肉を食べても大丈夫?

 狂牛病にかかった牛の製品を食べると、全員感染してしまうか、というとそうではありません。まず、牛乳や乳製品は大丈夫といわれています。これは、95年の英国のマウスによる実験結果に裏付けられています。

 異常型プリオンは、牛では神経系統に蓄積しやすいため、内臓以外の普段、食べている牛肉や乳製品では心配はないといわれています。脳、脊髄、眼、小腸の最後の部分の回腸部以外からの感染は認められていないので、一般に食べるロースやカルビなどの肉は大丈夫。内臓や骨付き肉などは避けたほうがよさそう。

 欧州では神経系の多い肉の部位を中心に、販売禁止にしたり、生後12カ月以上の牛肉の脳と眼球を含む牛の頭がい、扁桃、せき髄、回腸の除去を義務づけたりしています。

 ひき肉にはいろんな部位が混じっているのは・・・と思いますが、一般に牛ひき肉に使われるのは、肩や足などの固いところやロースなどをはずした残りの部位の肉。内臓を混ぜると味が変わるので入ることはないそうです。

 スープの元やスナック菓子、インスタントラーメン、レトルト食品などでよく使われている牛エキスは、原料の詳細が出てないらしいので、ちょっと怖いですね。

 肉好きの人は、ステーキや焼き肉のカルビやロースなどを食べるのは大丈夫そう。でも、この際、毎日の食事から肉を少し減らせば、ダイエットにもつながるかもしれません。

   

狂牛病感染の危険度
高リスク 脳、せき髄、目
中リスク 回腸、リンパ節、近位結腸、ひ臓、へんとう、硬膜、松果体、胎盤、脳せき髄液、下垂体、副腎
低リスク 遠位結腸、鼻粘膜、末しょう神経、骨髄、肝臓、肺、すい臓、胸腺
リスクなし 心臓、腎臓、乳腺、牛乳、卵巣、唾液、唾液腺、精のう、血清、骨格筋、こう丸、甲状腺、子宮、胎児組織、胆汁、骨、軟骨組織、結合組織、毛、皮膚

(EU医薬品審査庁による分類)

 

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 日本では、月齢30ヶ月以上の牛すべてを検査する方針を決定しました。これは狂牛病の発症が月齢30ヶ月以上の牛に見られるためです。国内で年間約130万頭の食肉用牛が処理されているなかで、月齢30ヶ月以上の牛は100万頭にのぼり、今年度内に50万頭の検査を実施する予定です。

 検査の方針を打ち出したことで、酪農家が出荷を自粛すれば、国産牛の出荷がかなり減り、食卓にも影響が出ることが心配されます。

 検査を実施する以上、見逃しや検査漏れがないように、徹底してほしいものです。また、これを機会に効率主義の家畜の生産を考え直し、より安全で安心して食べられる方法に切り替えていってほしいと願います。

---2001.9.22 (c) 2001 by Mica Okamoto ---

 

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