[No.115 : グレープフルーツで健康に]
爽やかな甘酸っぱさが人気のグレープフルーツ。数個の果実ががぶどうの房のように実ることからグレープフルーツと名付けられました。アメリカの朝食には欠かせないフルーツで、フロリダやカリフォルニアには大産地があります。フロリダ産の熟したものが輸入されて出回るのは6月〜7月にかけての頃。
日本には1930年代の昭和初期に輸入され始め、当時は高級フルーツでしたが、1971年に輸入が自由化され、一般家庭でも手軽に食べられるようになりました。おしゃれなイメージとダイエットにいいと女性に人気です。
■グレープフルーツの健康効果
▼ビタミンCが豊富
グレープフルーツは柑橘類のなかでもビタミンCが豊富。100g中に約40mg含まれており、温州みかんよりやや多め。ビタミンCは、シミやソバカスを防ぐ美肌効果、疲労やストレスからの回復、風邪などの病気やガン予防に効果があります。また、ビタミンCの吸収を高めるビタミンPやクエン酸も含んでいます。クエン酸は、体内の疲労物質である乳酸の代謝を高める作用があり、疲れをとり元気を回復させます。
▼赤い種類はカロチンが多め
果肉が赤いルビーなどの種類の赤い色素成分は、カロチンの一種のリコピンです。カロチンは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や目の粘膜を強化するなどの働きがあります。カロチンは必要な量のみ体内でビタミンAに変化するので過剰摂取の心配がありません。
▼心臓の健康を保つ
心臓や筋肉の正常な収縮を助け、糖代謝を促進する働きをもつカリウムも豊富に含まれています。カリウムの働きとビタミンCの血管を強くする働きとの相乗効果で、心臓の健康に良いとされています。アメリカでは、「アメリカン・ハート・アソシエイション(心臓病関連の任意団体)」に認定され、グレープフルーツや関連商品には、ハートのマークを付けて販売されています。
▼ガン予防効果
グレープフルーツのリモニン(Limonin)という苦み成分はガン予防効果があるといわれています。リモニンを継続的に摂取すると身体の中にある解毒代謝酵素を活性化し、発ガン性物質を無毒化して、体外に排出する効果があります。果実なら半分、ジュースならコップ1杯飲むだけでガン予防効果を期待できると言われています。
▼二日酔いしないグレープフルーツサワー
グレープフルーツの主成分である果糖(フルクトース)はアルコール代謝を早め、アコールを早く分解します。グレープフルーツは糖分も果汁量も多いので、レモンサワーよアルコール分解が早め。二日酔いの心配も少ないでしょう。
▼葉酸が多く、妊婦にお薦め
アメリカでは妊婦にグレープフルーツが薦められますが、その理由は葉酸が豊富なためです。葉酸は血液や細胞を作る働きがあり、胎児の脳や脊髄などを形成するのに不可欠なビタミン。グレープフルーツ2分の1個でほうれん草3束分の葉酸が摂れます。
■食べても、香りでもダイエット効果
グレープフルーツには果糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖分が含まれていますが、他の柑橘類に比べると少な目。他の柑橘類を同量食べるよりカロリーが少なくダイエットに適しています。
グレープフルーツに含まれるイノシトールは、水溶性のビタミンB群の一種で、肝臓に脂肪が溜まるのを抑えたり、コレステロールの過剰蓄積を防ぐ調整作用など、脂肪の代謝を良くする効果があります。そのため、脂肪肝・肝硬変等の予防や治療薬、総合ビタミンドリンクなどに広く利用されています。
ダイエット食として最適なグレープフルーツですが、香りを嗅ぐだけでも痩せる効果が期待できます。香りを嗅ぐと、グレープフルーツに含まれる精油成分のリモネン(Limonene)が鼻腔を通って脳に伝わり、交感神経が速効的に活性化します。交感神経は、呼吸や脈拍をコントロールし、血行促進、エネルギー消費を促して、身体の動きを活発にするため、痩せられるというわけです。
また、2002年に資生堂が確立した新スリミング理論(UCP理論)では、グレープフルーツの香りを嗅ぐことによって、中性脂肪を燃焼させるタンパク質「UCP(uncoupling protein:脱共役タンパク質)」が多く現れるのに効果的なノルアドレナリンの分泌が増えるため、中性脂肪を燃焼させることがわかっています。
★薬との飲み合わせは要注意!
グレープフルーツ果汁とある種の薬を一緒に飲むと、薬の作用を増強して強くして思わぬ症状を引き起こすことがあります。
グレープフルーツ果汁との作用が確認されている薬品として知られているのが、血圧を下げる降圧剤として使用される「カルシウム拮抗剤」といわれる薬です。飲み合わせると、薬が効きすぎて血圧が下がり過ぎ、めまいや頭痛などの症状を引き起こすことがあります。
睡眠剤として用いられる「トリアゾラム」はグレープフルーツとの併用で催眠効果が強くなることがあります。
気管支喘息発作を止めたりアレルギー性鼻炎・じんましんのときに用いられる「テルフェナジン(製剤名:トリルダン)」とグレープフルーツとの併用は薬の血中濃度を上げすぎて、心室性不整脈といった心臓系の副作用が起きる可能性があります。
肥満や糖尿病の人はダイエットのためにグレープフルーツを飲食する機会も多いので、薬との飲み合わせには十分注意しましょう。
---2004.7.3 (c) Mica Okamoto ---
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