[No.091:乳酸菌が歯周病を防ぐ]
虫歯だけでなく口臭の原因にもなる歯周病。厚生労働省の調査によると、35歳以上の8割以上が歯周病にかかっています。
歯周病の原因は、食べかすや歯垢にすみつく歯周病菌で、そのなかでも特に問題があるのがジンジバリス菌。この菌の出す酵素が歯と歯肉をつないでいるじん帯を切って骨を溶かして深い歯周ポケットをつくり、その隙間で増えて、歯周病を進行させていきます。
歯周病の予防としては、歯磨きと歯石をとるのが唯一の方法でしたが、乳酸菌が歯周病や虫歯の予防に役立つことがわかってきました。乳酸菌は、ジンジバリス菌を殺すとともに、歯周ポケットを広げる酵素の活性も抑えるのです。
また、乳酸菌は虫歯の予防も期待できそうです。東海大学の古賀教授によると、虫歯菌自体を減らす作用は少ないですが、虫歯菌が歯にくっつくための粘りけのある不溶性グルカンが作られるのを防ぐというのです。
では、乳酸菌を歯周病予防に使う方法はというと、とても簡単。しっかり歯磨きをした後、乳酸菌の整腸剤を口のなかで転がすだけ。
「乳酸菌が歯周病菌を減らすなら歯磨きは不要では?」と思いがちですが、歯周ポケットの奥の歯垢を歯磨きで取り除く必要があります。磨き方は、歯と歯茎の境目にななめ45度に歯ブラシをあて、1ケ所20〜30回は磨くようにします。歯磨き粉をつけすぎると歯垢が落ちにくくなるので少なめに。
その後は、「ビオフェルミン」や「わかもと」など市販の乳酸菌整腸剤を口の中で飲みこまずに舌で転がしながら歯茎全体にいき渡るように溶かしていきます。1日3回その商品の使用量に従って飲みます。
この方法を発見した今井龍弥医師によると「歯磨き時の出血や歯肉の腫れは2〜3日、口臭は1〜3日でよくなります。ただし、歯茎がぐらついている場合は、乳酸菌だけでは難しい場合もあります」。
今や国民病とまでいわれる歯周病ですが、歯磨きに乳酸菌をプラスする方法なら、実行もできそう。高齢になっても自分の歯をより多く残すために、ぜひトライしてみてください。
▼歯周病については「No.014:歯周病が死を招く?!」、「No.084: 歯周病と糖尿病」もぜひ参考にして下さい。
---2002.1.26 (c) Mica Okamoto ---
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