子どもの貧困率が改善したカラクリ。実際には貧困が拡大している。
「子どもの貧困率が、6人に1人から7人に1人に改善した」
と発表され、安倍政権の政策の結果のように吹聴し、10月22日に投票が行われる選挙戦でも強調しているが、ところが、実際には、貧困率は改善などしていなかった。
ーーー貧困率の低下はいったい何を意味しているのだろうか。貧困率が下がった「カラクリ」は、結論から言えば、子どもの貧困率の減少は、子どもの貧困の削減を意味しておらず、むしろ貧困の拡大の結果である可能性が高い、ーーー
ということなのだ。
社会の貧困が進み、子育て自体が贅沢になれば、子育てできる人しか子どもを持てない。
そうなると、本当に貧困な人は子どもを持たないため、子どもの貧困は減る、というカラクリ。
統計の数字だけみても実態はわからない。
●子どもの貧困率削減は本当に「好ましい」のか? 貧困率削減の「カラクリ」
今野晴貴 | NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
10/20(金) 20:15
https://news.yahoo.co.jp/byline/konnoharuki/20171020-00077069/ーーーそもそも相対的貧困率は一般的な意味で貧困を表している数値ではない。
ーーー人口全体の可処分所得が低下すれば、生活に必要な費用額とは無関係に、「貧困線」は自動的に下がる。
ーーー物価の変動を考慮すると、この5年間でも貧困線は引き下がっている。
ーーー全体の貧困率では16.1%が17.0%へと上昇し、子どもの貧困率については16.3%が15.0%に下がった。「貧困線」付近の低所得層の割合は、人口全体については悪化し、子どものいる世帯では改善された
ーーー低所得子育て世帯の有業人口が増加した。
子育て世帯全体でみると、有業人員1人あたり勤労収入の実質値は2012年から2015年にかけて、5万円ほど下がっている。つまり、子育て世帯では、安倍首相が強調する「雇用の改善」や「賃金の上昇」は実現しておらず、むしろマイナスになっている。ーーー低所得の「子育て世帯」が減少していけば、結果として「子供の貧困率」は低下するということになる。つまり、お金がなければ結婚することも、子育てすることも「できない」という状況が以前よりも広がっている。