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「誘拐婚」にみる女性の幸せ

06.23.2013 · Posted in view

旧ソ連のコーカサスや中央アジアのキルギス、カザフスタンなどで、「誘拐婚」の伝統があるという。何百年も続く土着の慣習で、気に入った女性を誘拐して、家に連れていき、男性の親戚が本人を説得するとともに、交渉にきた女性の親戚とも話し合い、親戚同士で合意すると、女性本人が嫌でも、結婚が成立してしまう。

●何百年も続く慣習「誘拐婚」って? コーカサスの人々が考える幸せとは
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120222/228157/?P=1

この記事では、結婚が決まっていた女性、医者だった女性が誘拐された例で、当初は本人は嫌だと思っていても、親が許可し親戚らに説得され結婚、数年たって「結婚して良かった」というコメントが載っている。

今の日本からすると考えられない。誘拐は犯罪だし、女性の意志は無視され、男性の一方的な意志で結婚が進められることは、女性の人権無視だし、誘拐された女性が結局親戚たちに説得されてしまうのも不思議だ。

「誘拐婚」なんて、日本や西欧の社会であったら、ジェンダーや人権活動家から当然糾弾され大きな問題になるだろう。

 誘拐婚は2007年〜2009年頃にピークに達し、現地の人権活動家の報告では、結婚全体の約25%が誘拐婚であったという。戦争によって、男性は 社会経済活動が大幅に制限されて権威を失い、精神的にもダメージを受けた。そのため、簡単に結婚する方法として誘拐婚が横行したのだ。
結婚してすぐに離縁してしまう例も多発し、女性たちが男性の身勝手によって傷つけられる事態が深刻化していた。しかし、2010年からはチェチェン共和 国の政令により、それまでは警察によって見逃されていた誘拐犯の取り締まりが厳しくなった。罰金刑に加え、ロシア刑法に基づいて数年の実刑に処されるリス クが高まったのだ。このため、誘拐婚が事実上不可能になった。
2010年に政変のあったキルギスでも、いまだに誘拐婚の風習は残っており、2009年にはロシアのイルクーツクでキルギス人がロシア人女性を誘拐し、逮捕される事件も起こっている。

とあり、国によっては西欧化により減ってきているようだ。
しかし、ここで紹介されているように、誘拐婚で結婚して良かったという女性も少なからず存在するのを、どう考えればよいのだろう。

女性が仕事や主義・主張を貫くより、男性に気に入られて結婚して家庭を持つほうが、結果的に幸せになれる人もいるだろうし、男性側も誘拐して結婚した以上責任を持って女性を養うために頑張って仕事をするし、男性の親戚も2人の結婚生活がうまくいくように最大限協力するというように、プラスに転がっていけばいいわけだ。

最初は嫌でも、その後の展開で良い面も見え、周囲もそうやって結婚した人が多ければ、社会の伝統や雰囲気によって、幸せだと感じるのかもしれない。いくら好き同士でも周囲の反対を押し切って、2人で駆け落ちしても破綻するのと、真逆といえる。誘拐されたことを一生恨んでいる女性はいないのか不思議だが、人は時間とともに、様々な人との関わりのなかで、感情も変化する生き物なので、なんとなく折り合いをつけながら生きているのだろうか。

女性だけが誘拐されるのは、明らかに女性蔑視だし、人権問題であるにはちがいない。
でも、別の視点で見れば、幸せとは、何か、を考えさせられる慣習である。

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