自分を知る〜ハコミセラピー
7月21日、ハコミセラピーのワークショップを企画運営し、スタッフとして参加した。
ハコミセラピーはアメリカのロン・クルツ氏が発案したセラピーで、東洋的な自分を見つめる禅的な手法や思考を用いた心理療法である。ハコミとは、アメリカ・インディアンのホピの言葉で「Who are you? 〜あなたは誰?」という意味だとのこと。
今回はハコミセラピーのなかの「mindfulness〜マインドフルネス」のワークショップだった。
マインドフルネスは、自分のなかに起きている思考、感情、身体の感覚、記憶、イメージなどをありのまま捉えて、自分を知る・気づく、というものである。
瞑想には、空っぽにして無の境地になる「止〜samatha」と、自分のなかに浮かぶ思考や感情を客観的に見つめてる「観〜vipassana」の2つがある。日本の禅は「止」で、東南アジアの僧たちが行なっているのは「観」のほうらしい。マインドフルネスは、「観」のほうである。
いくつかワークを行った。1つは、ある言葉を聞いた時、自分のなかに、どういう状況が生まれるか。ある言葉によって表れる記憶やイメージ、感情や思考は、その言葉に結びつく今までの自分の体験や歴史が深く関係していることに気づく。今まで無意識に、言葉を聴くと、直結して出てくる心の動きに、飲み込まれていたが、マインドフルネスな状態になって行うと、そのプロセスを実感できる。同じ言葉でも、人によって感じ方や表れるイメージが違うことが明らかに分かる。
また、同じ言葉でも、言い方の声の大きさ、トーン、距離、方向などや言う人間の性別、年齢によって気持ちよく感じる場合もあれば、嫌な感じを受ける場合もあるし、自分の状態、元気なのか具合が悪いのか、天気や時間帯などによっても違ってくる。そうなるのは自分の中の問題であることが、ワークのなかで明らかにされていく。
いくつかのワークを通してわかったこと。
「自己とは」という問いかけに対して人は◯◯と明確に答えようとするし、応えたいと思う。自己とは明確な実態があるように考えがちである。
しかし自分の中にはいくつもの顔があり、自分の置かれた環境や状況によって、さまざまな、時には正反対な感情や行動をする場合がある。単純に「私は◯◯」というふうに表現できるものは無く、自己ほどあやふやなものはない。
「自分はこうである」と限定してしまうと、そうでない自分が出てきたときに混乱したり、それを繕うために無理やり嘘の自分が作ったりして、さらにわからなくなる、ということである。
人間の感情や心の動きは常に一定ではなく、あらゆる形や大きさ、方向に動く可能性がある。そのすべてのプロセスが自己である。そう認めて自分を受け止める事が、自分を知り理解する気づきのスタートになるのだと思う。
◆ハコミセラピー|JHEN 日本ハコミ・エデュケーション・ネットワーク
http://hakomi-jhen.com/