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「思いを表せない」震災から2年半後 被災地の子どもたち

09.17.2013 · Posted in 子ども, 震災復興

目前で家族や友人が亡くなり、家が流され、町が失くなるのを見てきた子どもたち。その時から今までの思いを、大人のようにうまく言葉にできない子も多い。小さすぎて何がどうなっているかもわからなかったが、少しずつ大きくなって、わかってきたこともあるだろう。

そして今の生活。自分の家は?これからどうなるのか? 
震災後2年半もたっているのに、見通しがつかないまま、仮設住宅で暮らしている子も多い。

この記事の「死んじゃった子もいるのに…という悔しさがある。なぜ僕は生きてるんだろう。聞きたいけど、なんて聞けばいいか分からなくて。我慢して、我慢して」という言葉は、とても重い。

なぜ、自分は生きているのか?

言いたいこと、聞きたいことはたくさんあるけど、聞いちゃいけないんじゃないか?

そんな思いを胸に押し込めながら成長する子どもたちは、どんな大人になるのだろう。

自分の気持ちや思いを言葉に表さずに大きくなるなんて。関心や興味を持って体験し、議論を交わしながら、アイデンティティが築かれて1人の大人に成長していくのに、それにどこかで背きなから生きていくなんて、どこかで壊れてしまうのではないか。

嫌なことにはあえて触れずに早く忘れたほうがいい・・・なんていう人もいるが、忘れることなんてできるわけない。思いを口に出し言葉にし、誰かに聴いてもらいながら、現実を認めていくこと。子どもたちこそ、そういうことを十分にしていく必要があるのではないかと思う。

【子供たちと震災 2年半のいま】長引く仮設暮らし なぜ僕は生きているんだろう
(産経ニュース 2013年9月14日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130914/dst13091407000000-n1.htm

 一人でいると、ときどき考える。僕、なんで仮設にいるんだろう。なぜ、僕は生きているんだろう。

 東日本大震災で752人が犠牲になった宮城県名取市の閖(ゆり)上(あげ)地区で自宅を流され、市内の仮設住宅で暮らす市立小3年、桜井舜(しゅん)士(じ)君(9)は今も、やり場のない思いにとらわれる。

 震災の日、幼稚園の卒園式だった。一緒に小学校へ上がるはずだった友達や、お世話になった先生が津波にのまれ帰らなかった。しばらくたって自宅を見に行った。雑草だけが生い茂っていた。父親に「ここだよ」と言われ、問い返した。「本当にここなの?」

 一家3人での仮設暮らし。テレビのある居間で食事をし、勉強机は夕飯後のこたつ。そのまま寝室になる。雑然とした生活の中で、忘れ物も増えた。

 「上ぐつとかぞうきん。友達もみんな、消しゴムとかペンを忘れてくる」

 本も全て流された。流し台のそばの整理箱には、震災後に買った学習絵本などが十数冊だけ並んでいた。

 地震や津波のことを考えることはあるのだろうか。桜井君は両目に涙をためて、こう打ち明けた。

 「死んじゃった子もいるのに…という悔しさがある。なぜ僕は生きてるんだろう。聞きたいけど、なんて聞けばいいか分からなくて。我慢して、我慢して」

■思いを表せない

 宮城県教育委員会によると、プレハブ仮設住宅と借り上げ仮設住宅から学校へ通う子供は5月時点で、小学生2978人、中学生1839人に上る。

 県南沿岸部の小学校で被災した男性教諭(55)は「仮設暮らしの子供を中心に、集中力が落ちている。2年半になり、自宅を再建するなど落ち着いてきた児童がいる一方、仮設に残された子供の状況は変わっていない」と話す。

 仮設住宅には、勉強部屋どころか自分の机も本棚もない。小さな弟や妹がいればノートに落書きされ、学用品は両親や祖父母の私物に紛れて、どこかへいってしまう。音楽の授業でクラスの半数の子供が教科書を忘れてきたこともあった。

 男性教諭は、これまで小学3年生を受け持ってきた経験から、こう述べた。

 「とりわけ現在の3年生は、震災前後に幼稚園を卒園し、避難所から小学校の入学式へ出席した世代だ。被災当時、学童期ではなかったため、なかなか自分の思いを言葉に表せない。われわれも気を使っている」

■学力低下・肥満…

 今年に入り、文部科学省が3つの全国調査結果を公表した。明らかになったのは、教育委員会も「震災の影響」を認めざるを得ない子供たちの変化だった。

 全国学力テストでは、宮城、福島両県はともに小6と中3の8科目中、6科目で全国平均を下回った。岩手県は5科目で平均以上。

 全国体力テストでは、東京電力福島第1原発事故で屋外活動が制限された福島県で、小5男女の体力が低下。肥満児の割合でも小5男子が17%、女子が12%と全国で最も高かった。

 学校基本調査によると、昨年度に不登校になった中学生の割合は、全国平均の2・56%に対して宮城県は全国最多の3・08%と、5年ぶりに増加に転じた。福島県は微増、岩手県は微減だった。

 宮城県東松島市の市立小の渡辺孝之教諭(51)は「子供たちの運動不足、体力低下の背景には、学校が移転、統廃合されスクールバス通学になったこともある」と話す。県南の小学校では、骨折した児童が全学年に1人ずついた。この学校の男性教諭は訴えた。

 「支援を受ける時期は過ぎ、仕事を見つけられない親もいる。義援金も底をつき、家庭不和の家もある。子供は希望を持てない親の姿を見て、つらい思いをランドセルに詰めて登校してくる。むしろ子供たちのこれからを案じている」

■子供たちの被災状況

 内閣府によると、東日本大震災で被害の大きかった岩手、宮城、福島3県で犠牲になった1万5681人(今年3月現在、身元判明分)のうち、0~9歳は468人、10代は423人。一方、両親を亡くした震災孤児は岩手94人、宮城126人、福島21人の計241人。どちらかの親を亡くした震災遺児は岩手487人、宮城857人、福島139人の計1483人。

     ◇

 東日本大震災の発生から11日で2年半。被災地の子供たちは今、何を考え、何を思っているのか。小さな言葉に耳を傾けた。

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