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避難先で増える児童虐待

11.21.2013 · Posted in 子ども, 震災復興

児童虐待の対応件数が2012年度、仙台市を除く宮城県と福島県でいずれも前年度から1・2倍増えた。震災後、復興の見えないなか、住環境は悪くなり、仕事もなくなって経済的に不安定になり、家族間の不安や不満、ストレスは、最も立場の弱い子どもに向けられるのは当然だろう。

特にいわき市は、約3万人もの避難者を受け入れ、元々のいわき市民と避難者の間に確執が起き、トラブルが増えている。人口は増えたといっても、いずれ帰る人間のために、行政サービスを充実させることをしようとしないため、病院、保育園、学校、住宅など十分でないところにさまざまな事情を抱えた人たちが住めば、トラブルが起こるのも当然だ。

子どものための相談事業などを充実させても、住環境を整え、仕事がなければ、本当の意味での解決はしない。

まず、大人が全国の他のエリアと同等の生活ができるための支援をすべきではないだろうか。

 

(4)増える児童虐待 避難都市 ゆがむ母子
(産経ニュース 2013.9.16 07:00 )

 「ママは悪くないんだよ、僕が悪いんだよ」

小学1年の男児は母親にたたかれても、尻をけられても、母親をかばった。東日本大震災で被災した宮城県沿岸部で自宅を流され、仮設住宅で暮らす一家。母親が長男を虐待し始めたきっかけは、父親が仕事をしないことだった。

祖父母と両親、5歳の弟との6人家族。父親は仕事を失い、祖父母の年金で暮らしていた。祖母は嫁である母親につらく当たり、孫の男児が食卓の料理をこぼしたり、狭い仮設を走り回ったりすると、「うるさい」と言ってしかった。

追い込まれた母親は「あんたが騒ぐからいけないんでしょ」と男児をたたき、突き飛ばした。大きな声を上げ、えり首をつかんで引っ張ることもあった。

男児は「おばあちゃんが怒るからママが怒るんだ。僕が悪いんだ」と自分を責めた。一方の母親は、子供に手を上げた夜、自責の念からふとんの中で泣いた。

一家を支援する塩釜市の支援団体代表、阿部泰幸さん(51)は「みんな仮設の中で息を詰めながら生活している。こうした家庭内の人間関係の問題が今、非常に増えている」と話す。

◆突出する「いわき市」

児童虐待の対応件数が昨年度、仙台市を除く宮城県と福島県でいずれも前年度から1・2倍増え、全国平均より増加率が高かった。

ただ同じ被災地でも地域差がみられる。突出して増えたのは東京電力福島第1原発のある「浜通り」地方を管轄する浜児童相談所の管内。前年度の56件から120件と2・1倍増えた。

福島虐待問題研究会「エフパネットふくしま」の影山和輝理事(48)は「浜通りの中心都市であるいわき市で、地域の異常事態が2年半続いていることを考える必要がある」と指摘する。

人口32万7千人のいわき市に、原発事故の避難者2万4千人が流入し、仮設や借り上げ住宅で暮らす。さらに原発事故の収束作業や除染の「後方基地」として全国から作業員が集まる。

浜児童相談所の安部智彦所長(58)は「元々の住民からすれば、地域の中に知らない人々が入ってきた格好だ。また仮設住宅は壁が薄く泣き声が聞こえやすい」と話し、こう続けた。

「結果的に、近隣住民からの『泣き声通報』が増えた。子供の安否を確認すると『念のため対応しておいたほうがいい』という事例がどうしても多くなった」

 

◆まずは親の生活再建

浜児童相談所によると、現在は子供を親から引き離さなければならないほど深刻な虐待が増えているわけではないという。子供を一時保護する割合は全体の3割、児童養護施設など施設へ入所させる割合は1割で、いずれも原発事故の前から変わらない。

福島県南の児童養護施設「堀川愛生園」の伊藤信彦施設長(51)は「親を取り巻く状況が変わらなければ、ストレスはたまる一方となる。今後は施設で受け入れる子供が増えるのではないか」と懸念する。

昨年7月の薄曇りの夜、福岡県久留米市の公営住宅近くで、5歳の女児が泣きながら歩いているところを保護された。30歳の母親が、自宅で女児の首を絞めた として逮捕された。母親は原発事故後、郡山市から女児ら娘4人を連れて自主避難していた。傷害罪に問われ、懲役10月、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

郡山市などを管轄する県中児童相談所の市川英雄次長(56)は言う。

「夫を残しての自主避難は生活費も二重になり、母子だけの生活は虐待のリスク要因ともなる。自主避難に限らず、親の生活を再建できなければ、子供の生活、成長を保障できない」

■児童虐待  児童虐待防止法は、(1)体に暴行を加える身体的虐待(2)わいせつな行為をしたり、させたりする性的虐待(3)食事をさせないといったネグレクト(育児 放棄)(4)暴言などで傷つける心理的虐待-の4類型を規定。厚生労働省によると、全国の児童相談所が対応した虐待は平成2年度から増え続け、24年度に 初めて6万件を超え6万6807件。前年度から1・1倍増えた。

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