fine-club.project approach with well-balanced mind for a balanced life

医療と宗教、健康法の関係

03.08.2014 · Posted in 健康, 医療全般, 社会

狩猟採集時代から農耕中心になり、動物性食品のタンパク質・脂質主体の食生活から、糖質中心の食生活になり、慢性疾患が蔓延し、感染症が流行し、平均寿命は約半分にまで落ち込んだ。

社会に病気が蔓延すると医療が必要になり、社会不安になると支配者が統制するために宗教が生まれた。

様々な健康法もいろいろな考えの基から生まれた。菜食中心や玄米食などがメジャーになっており、技術の進歩で食物の大量生産が実現したが、その食品には以前のような栄養素がなくなっている。人類の狩猟採集民時代の健康を、植物性食品主体でも獲得するには現在においても至っていない。

・・・となると、人類が農耕を始めたことが良かったのか?と感じてしまう。農耕の発展の方法が間違っていたのか・・。

医療、宗教、健康法

今からおよそ1万1千年前、肥沃三日月地帯で始まったとされる農耕革命は、人口の増加と文明を産みました。もっとも初期の文明とされるのが、シュメル文明ですね。これがエジプト文明やメソポタミア文明へと引き継がれていきます。

農耕によって単位面積当たりの獲得食料が50~100倍に増え、それに伴って人口もまた増えましたが、動物性食品が相対的に不足してしまいました。狩猟採集時代は動物性食品主体、タンパク質・脂質主体の食生活だったのが、植物性食品主体、糖質主体の食生活になることによって、慢性疾患が蔓延し、感染症が流行し、平均寿命は約半分にまで落ち込んでしまいました。ここまでは前回説明した通りです。

社会に疾患が蔓延すると、医療が必要になります。これが医療の始まりです。初期の医療は加持祈祷の類も多く、効果も疑わしいものばかりでした。健康不安は社会不安へとつながり、社会不安や支配層と被支配層との格差による不満などが、社会に蔓延しました。これを鎮めるために、宗教が生まれました。ですから医療と宗教は密接な関係にあるのです。

人々はやがて、病気の治療に麻薬を用いるようになりました。最も初期の医薬品はケシや大麻のような麻薬です。麻薬によって病気の苦しみから人々を救うことが、医療となっていきました。外科学は戦争の発展とともに進化していきましたが、内科学は19世紀になるまでの約4000年もの間、麻薬を主体に用いられていたのです。

健康不安を解消するために、各種健康法も生まれました。菜食主義や菜食中心主義のような考え方は、文明の初期から存在していました。日本では伝統的に玄米菜食が健康法として研究され続けてきましたが、残念ながら、狩猟採集民時代の健康を、植物性食品主体でも獲得するには現在においても至っていません。

文明はマルサスの罠によって、常に貧困や飢餓との戦いでした。そのような状態は20世紀に入るまで、ずっと続いていたのです。実際19世紀までの世界では、世界の総人口が20億人を超えることは無かったといわれています。1898年にサー・ウィリアム・クルックスが英国科学アカデミーで語った演説は有名です。「イギリスをはじめとする全ての文明国家は、いま死ぬか生きるかの危機に直面している。人口が増えている一方で、食物の生産量が減っている。食料の不足は、化学的な研究成果を通じて解決されるであろう。人類を飢えから救うのは化学者である。われわれが死に直面する前に、化学者の働きによって世界的な飢餓の時代は先延ばしにされ、われわれの息子や孫たちは、将来を過度に心配することなく生きられるようになるであろう」

実際20世紀に入ってすぐ、ハーバーとボッシュによる空中窒素の固定術が確立され、大量の化学肥料が飛躍的な食料増産を可能にしました。ですがそれまでの人類には、十分な余剰食糧、特に動物性食品は存在しませんでしたから、先住民食とは、文字通り先住民族のみに許される贅沢だったのでした。

長尾周格氏のFacebookより

https://www.facebook.com/shukaku.nagao/posts/605814196163155

Tags: ,

Leave a Reply

WP-SpamFree by Pole Position Marketing