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原発賠償の格差 距離・放射線量で線引き

03.09.2014 · Posted in 原発・放射能, 震災復興

原発の損害賠償が、距離や放射線量で線引され、格差が拡大している。

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●原発賠償、広がる格差=距離、放射線量で「線引き」〔東日本大震災3年〕

http://bit.ly/1odOavi

 政府による東京電力福島第1原発事故の損害賠償をめぐって、福島県の被災者の間での格差拡大の問題があらわになっている。原発事故から3年を経ても、避難生活を続けている人は約14万人。帰還も始まる中、行政の新たな線引きで賠償額に理不尽な差が生じ、生活再建の道筋が描けない被災地の悩みが深まっている。

 ◇帰れぬ人でも格差
 安倍政権は昨年秋、避難生活の長期化を踏まえ、それまで掲げてきた「全員帰還」の方針を断念し、移住を促す政策に転換した。その直後に決まった国の賠償指針は、福島第1原発から20キロ圏内「避難指示区域」を3区分し、放射線量が高く帰還が極めて困難な「帰還困難区域」の住民への慰謝料を新たに700万円一括で支払うと明記した。故郷を失った精神的苦痛に配慮し、住宅取得費の上積みで移住を支援する。
 しかし、新指針により、避難指示区域内での賠償額格差は広がった。国の試算では、標準的な4人世帯の賠償総額は、「帰還困難区域」で1億675万円。これに対し、「居住制限区域」で7197万円、「避難指示解除準備区域」では5681万円。放射線量の違いによって帰還の可能性が高いか低いかで決まった。
 だが、3区分された被災者の避難生活の内実は何ら変わらず、帰還がいつ可能になるかの見通しはいずれも立たない便宜的な線引きだ。町内に3区域を抱える富岡町の宮本皓一町長は「賠償額の差で町民感情は複雑になる」とし、住民の絆が乱れ、町が空中分解することを懸念する。
 内閣府も「賠償の不公平感はある」と仕組みの欠陥を認める。いずれ、自治体に財政支援して被災地再建の裁量を委ねる検討が進むが、現在、各自治体が格差是正を求めても返答すらないという。富岡町と同様に3区域を抱える大熊町は昨年末、国の対応に業を煮やし、町の財源で差額を補填(ほてん)することを決めた。

 ◇20キロ圏外打ち切り
 帰還が可能とされた20キロ圏外での格差問題も深刻だ。「20キロ圏内と圏外で賠償に開きがある。格差の是正をお願いしたい」-。境界をまたぐ川内村の遠藤雄幸村長は2月に経済産業省を訪れ、訴えた。20~30キロ圏は、2011年9月に避難準備指示が解除され帰還が可能になった「旧緊急時避難準備区域」。
 しかし、帰還可能は名ばかりで、電気や水道が復旧せず、当初は線量が高い場所もあった。それでも「帰還可能」を理由に、20~30キロ圏の住民への慰謝料は12年8月で打ち切られた。就労不能損害の補償は約半年間支払われただけだ。宅地・建物などへの賠償はもともと対象外。川内村は12年1月、「帰村宣言」したが帰った住民は村民の4割程度にとどまっている。

(時事ドットコム 2014/03/01-14:32)

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