「植物ホルモン剤」でつくられる不自然な植物
植物の種がない方が食べやすいといって「植物ホルモン剤」が使われている。
どんどん不自然な方向に人工的につくられる植物。
化学薬品を使って、自然の摂理を曲げてつくられる不自然(異常)な植物を食べて、影響がないわけがないのではないか。
●「植物ホルモン剤」
今の農業は、着果と種消去のために、一部、植物ホルモン剤を使います。自然栽培的に植物ホルモン剤の是非を問われることがありますが、考えるまでもなく非です。
現代の食料生産において、例えば「種が無い方が食べやすく便利」とか「冬でも夏野菜が食べたい」とか「安定供給してもらわないと困る」とか「出来るだけ安く」という要求があり、植物ホルモン剤の安易な使用が促されています。
植物ホルモンは、植物が本来持っているものだから、使用しても問題ないということを言われる人もいますが、植物の本来の成長スピードを加速するものですから、植物にとっては大きな迷惑です。
農業に使用される植物ホルモンで有名なものは、以下の三つです。もちろんそれ以外にもありますが。
1)「オーキシン」
「オーキシン」はナス科などの農作物の着果のために使用されます。受粉しなくてもこのオーキシンの作用により着果するため、最近はよく使われています。
オーキシンは天然のものは安定性がなく利用ができないため、合成オーキシンが使われますが、問題はこの合成オーキシンです。以前は2,4-Dという薬剤が使用されていました。ベトナム戦争の時に散布された枯葉剤の主成分の一つです。この2,4-Dはその製造過程でダイオキシンを含みやすく、環境にも人体にも悪影響を与えます。
最近は4-CPAという薬剤を使用しますが、当然毒性試験によって肝臓・腎臓等に問題があるとの結果が出ています。もちろん使用量が少ないので、結果的には毒性は認められていません。ただ、こうしたものを使用すると、多くは種ができません。生命の尊厳でもある種を作らせないというのが一番の問題でしょう。
収穫量が増える、つまり安定供給と冬場でも着果する(ハウス内)という利点もありますが、結果的に種のできにくい、不自然なトマトを作りを続けることになってしまいます。
2)「ジベレリン」「ジベレリン」は、種無し葡萄に使用されます。オーキシンと作用機序は似ていますが、こちらの方が確実に種を作らなくなります。このジベレリンを使用するようになってから、葡萄農家の作業はどんどん過酷なものになっています。
収穫までにこのジベレリン液にひと房ひと房ずつ漬けて行くという作業は、かなりの重労働であり、また、果実の肥大が進むために、粒引きという葡萄の粒を減らすという作業を行わなくてはなりません。ある意味それが近隣の方のパート、アルバイトという雇用にもつながるのですが、当然、生産コストは高くなっていきます。しかしそれを販売価格に転化しづらいのが今の農業です。
種はどうせ捨ててしまうのだから、種ができなくても構わない、食べやすい方がいいという安易な要求が、農家を苦しめることになっています。
3)「サイトカイニン」
サイトカイニンは、受粉したあとの果実の肥大のために使用されるため、種ができないという不自然な状況にはなりません。なので、スイカやメロンなど、種があることで甘くなる物に使用されます。しかしこのサイトカイニンも、中毒症状が認められることは動物実験で証明されています。
人間というのは、どこまでも自然というものをコントロールしたがり、コントロール出来るのが人間の特権であり、知恵であると勘違いし続けています。
それにより生活は一見豊かになっているように思うかもしれません。でも、受粉しないという現象は、そもそも人間が作り出したものです。化学薬品の使用により、受粉を媒介するミツバチを減少させているのは人間であり、決して自然なんかコントロール出来ていません。単に、自分たちが起こした不自然な現象に対して慌てて、対処療法しようとしているにすぎません。
安定供給は大事ですが、その前に食料廃棄を減らすことが先です。それができないうちから食料の大量生産を進めるから、一向に廃棄食料が減らないのです。
植物ホルモン剤使用の是非は、それぞれの立場により意見は違うとは思いますが、自然をコントロールできるというのは勘違いであることぐらいは理解していただきたいものです。
岡本よりたか氏のFacebookより