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放射能や放射性物質についての基礎知識

05.11.2015 · Posted in 原発・放射能

まず基礎を知らないと

基礎に戻って放射能や放射性物質

まず放射能、放射線、放射性物質の違いについておさらいしておきたい。放射能とは放射線を出す力のことを表現している言葉であり、放射線とは放出されるエネルギー自体のこと、違う言い方をすれば物質を透過する力を持った光線に似たものである。放射性物質とは放射能をもっている物質のことであり、放射性物質は、放射線を出しながら壊れていく。放射線自体はα線、β線、γ線、エックス線、中性子線などに大きく分けられる。

α線は、2個の陽子と2個の中性子からなる粒子線であり、紙1枚でも通り抜けることはできない。簡単に防止できるので、通常の外部被曝では重視されない。しかし体内に取り込んだ場合には、活性酸素(増えすぎるとガンをはじめとする現代病を引き起こす物質)が生じるので内部被曝で問題になる。内部被爆で危険視されているα系放射性物質の代表格がプルトニウムである。β線は、電子からなる粒子線で、厚さ1㎝のプラスチック板や薄いアルミニウム板を通り抜けられない。α線と同様、体内に取り込まれた場合には、活性酸素が生じるので内部被曝で問題になる。γ線はレントゲンや電波と同じ電磁波であり、これを遮るのは厚い鉛板くらいである。内部被曝ではα線やβ線が重視視され、外部被曝ではγ線が重要視されるのはこのためである。そのため、ガイガーカウンターは主にγ線を測定する。α線やβ線は透過性が低く、体内に入ってきても内部被曝の正確な線量を測るのが困難である。放射性物質は本来300種類以上あり、それらのどの種類がどれだけの量、体内にあるのかは誰にも正確にはわからない。確実にいえるのはγ線だけに注目して測定したところでほとんど意味はないということだ。

単位としてはベクレルとシーベルトについて聞くことが多いだろう。ベクレルとは放射能の強さを表す単位であり、内部被爆ではこの数値が重要視される。1Bqは一秒間に一個の原子核が崩壊することだ。崩壊するときに放射線が発生するわけである。たとえばある放射性物質が10秒間に1,000個原子核が崩壊するとすれば、その放射能は100ベクレルであると表現する。シーベルトは放射線によって人体にどれだけ影響があるかを示す単位であり、実効線量とも呼ばれる。そのため1mSV以上は安全だとか危険だとか、東海村で亡くなった方が8SVという線量を浴びたとか表現されるわけである。ちなみに一部の測定器では、α線、β線、γ線のすべての放射線が測れるといわれているが、日本では国や大企業からの圧力があるために、一般市民が買うのは困難な状況になっている。また、たとえ買えたとしても、正しい数字が出る測定器は少ないのが現状である(校正がインチキということである)。

メディアが出している情報の多くは、γ線を主体にして出しているものばかりで低くしか出てこない。そもそも論でいうのなら各国における放射能の基準自体が間違っている、とあなたが考えられるかどうかは重要だ。つまりチェルノブイリの基準でさえ高いのであり(なぜこういえるのかはチェルノブイリ後のウクライナなどを参照されたい)日本は論外であるということだ。これは医療的な観点でいえばCTや胃のバリウム検査やマンモグラフィーや、最悪は胸のレントゲンを撮るだけでも癌のリスクが増えることと同義だ。PETなども被爆が大きい検査である。それらを無視した基準を前提として、安全危険を述べたところで意味はない。放射能や放射線自体は等しく体を阻害し破壊するだけのシンプルな物質である。この反論としてよく用いられる放射線ホルミシス効果の嘘については○○ページを参照されたい。

放射性物質としてよく話題に上がるのがセシウムやヨウ素という物質だが、残念ながら放射性物質はそれだけではなく多種多様なものが存在する。「AERA」2011.6.27号(朝日新聞出版)18-19ページには拡散したと見られる、核種31種類とその放出量、線種、強さ、物理的・生物学的半減期、具体的な人体への影響などが掲載されているが、その内容は非常にわかりやすくなっている。ここでは31種を紹介するわけにはいかないが、現在私たち市民が考えなければならない放射性物質について、基礎事項について検討を加えてみたい。国家がセシウムだけを測定して話題にしているのは、ほかにたくさんある核種の危険性を隠すためであり、完全な隠蔽工作であることに気付かねばならない。

もっとも危険な放射性物質として扱われているのがキュリウムである。名前はキュリー夫人に由来するものだが、これは壊変してプルトニウム238になる。プルトニウムより危険な物質だが、そのプルトニウムでさえ爆発により1兆ベクレル以上が放出されたといわれている。この数字さえ2014年現在では少ないかもしれず、プルトニウムは放射性毒性が強いことで多くの方がご存知のことだろう。

プルトニウムは当初もっとも危険視された放射性物質である。あるデータによると原発事故前から30ベクレル/m2のところが全国各地に存在したそうだが、これは冷戦時代の核実験の後遺症が主たる要因であろうと思われる。その主たる放射線はα線であり、本来α線は貫通力が弱いのだが、プルトニウムが体内にとりこまれると永久不滅に内部被ばくすることが問題視されている。これはプルトニウムの半減期が非常に長いこととエネルギーが強いためだ。プルトニウムは気管や肺の繊毛に沈着し、長く留まって組織を被爆するといわれ、また食べたプルトニウムは胃腸壁を通して吸収されやすく、吸収されたプルトニウムは主として骨に集まりやすい。これは骨のガン、とくに白血病の原因となりかねない。

プルトニウムの化学毒性は重金属並みだが放射線障害毒性はその比ではない。第二次世界大戦後にソ連に対抗するため肥大化した軍需産業が、「デュポン社」「ロッキード社」「ダグラス社」「ダウケミカル社」などだが、この中の「ダウケミカル社」の工場は、1955年から一貫して核兵器用のプルトニウム製造先である。このことは高木仁三郎氏「プルトニウムの恐怖」に詳しく記載されているが、それによるとこの会社からは合計100gに近いプルトニウムが漏れ出したと推定されている。プルトニウムの1人あたりの許容量は4000万分の1gなので40億人分の許容量のプルトニウムに当たる。もちろん土壌中の濃度が高いほど、癌や白血病などの発生率が高いデータが存在している。それにそもそも放射能は癌が問題なのではなく、その手前で免疫異常、奇形、体調変化、精神異常など様々な弊害をもたらす毒である。

この危険なプルトニウムの安全性を強調した嘘つきが、元東京電力社員で東京大学教授の推進派御用学者大橋弘忠氏であるが、彼はプルトニウムのことがばれてくるに従い表舞台から姿を消した。大橋氏はいわゆる原子力ムラの一員であり、多国籍産業の手下であり、科学という名の嘘を盲信している大嘘つきだ。そして、放射能の起こす問題は常に多重因子であるため、証明しづらいことを逆に利用している。ちなみにプルトニウムは重いので飛ばないといわれてきたがこれも嘘であり、フォールアウトによっても広がりをみせたが、もう一つの重要な要素が「ホットパーティクル」である。

モリブデンも必須ミネラルの一つだがこれもまた放射性物質が存在する。これは爪の検査などをするとよくみられるのだが、モリブデンだけでなくいくつかの異常パターンが見受けられる。

ストロンチウムは有名な放射性物質だが、半減期は約29年間と長く、ストロンチウムはカルシウムイオンに類似しているので骨にたまるほか、細胞伝達なども狂わせる作用があり白血病や骨のガンの原因になりやすいといわれる。ただストロンチウムはストロンチウムだけの問題ではなく、壊変してイットリウムになるので、さらに放射線を出し続けるという別の問題がある。ストロンチウムの毒性は一説にはセシウムの数百倍ともいわれており、骨だけでなく、脳にも障害をきたしやすいとされている。ストロンチウムが崩壊してイットリウムに変わると、ほかの臓器(膵臓など)にも移行しやすくなる。ストロンチウムは水に溶けやすい性質があり、土壌に長く止まるというより、セシウムと違って拡散しやすい性質がある。『日刊ゲンダイ』(2012年7月12日)によれば、茨城県つくば市のストロンチウムがチェルノブイリの3倍を超えると掲載された。東日本大震災が起きた2011年3月、茨城県つくば市の気象研究所が敷地内の降下物を調べたところ、1986年のチェルノブイリ自己直後に気象所で観測した値の3倍以上だったという。ストロンチウムは、主として特殊な測定機でないと測れない。学術誌『ネイチャー』には、ラットにストロンチウムを投与した結果、多数が死産となったという記事が掲載されている。有名なスターングラス博士はイットリウムが膵臓に集中し糖尿病になるとも指摘している。日本では戦後から現在にかけて膵臓癌 が12倍にもふくれあがってきたが、国際放射線防護委員会(ICRP)が特定のがんと奇形児くらいの関係性しか認めていないことも指摘している。

セシウムはおそらくもっとも有名な放射性物質だが、揮発性が高いことと筋肉に蓄積することに問題がある。胃腸で吸収されやすいのも問題でカリウムに類似しているのも問題である。セシウムの半減期は、セシウム134が約2年、セシウム137が約30年と、非常に長い。セシウムを体内に取り込むと、体内ではカリウムとセシウムの区別がつかず、体の組織へ吸収される。カリウムは細胞内のミネラルであり間違えられたセシウムは入り込んでくる。ガンの発症や白血球(体内に入った細菌や異物を殺す働きをする細胞)の減少に影響を持つ理由の一つはこのためであり、子どもは特に危険である。セシウムに限ったことではなく放射性物質には物質的半減期と体内半減期がある。一回だけセシウムを取り込んでも体内からはそのうち消えるが、毎日セシウムを取り込めば一定量のセシウムが体に残るようになる。毎日10ベクレルずつ体内に取り込んだ場合、700日後(約2年後)には1400ベクレルを超えるとされるといわれている。
  
セシウムは日本では尿中の測定が行われるかWBC(ホールボディーカウンター)が使われる。私自身はWBCは不正確だと思っているので、当院では尿中測定を用いている。ちなみに子どもの尿に1リットル中1ベクレル含まれていると、だいたい1日に同じだけ取り込んでいるという説がある。成人だと尿の2倍くらい摂取しているであろうとする予測値がある。ちなみにいまの食品に含まれる放射性セシウムの基準値は、1キログラムあたり一般食品100ベクレル、牛乳と乳児用食品50ベクレル、飲料水と飲用茶10ベクレルということであり、この基準の異常さはチェルノブイリと見比べてみても、セシウム蓄積予測量を考えても明らかである。

チェルノブイリ原爆事故の影響を調べた医師であり、病理解剖学者であるユーリ・バンダジェフスキー博士は、セシウム137が子どもの体重1㎏当たり10ベクレル蓄積しただけでも、遺伝子に悪影響を与え、不整脈(脈が不規則的な状態)を起こす危険性があると警告している。バンダジェフスキー博士は、体重1㎏当たりのセシウム137の蓄積量によって子どもをグループ分けし、以下のような結果を発表している。この数字はWBCの数字であるが、個人的な印象論として述べるとWBCは尿中測定よりも常に高い数字を示す傾向がある。それを加味して我々は考慮しなければならない。

①0〜5ベクレルの蓄積:正常な心電図は80%
②12〜26ベクレルの蓄積:正常な心電図は40%
③74〜100ベクレルの蓄積:正常な心電図は12%

このセシウムの危険性を訴えるときに放射性カリウムを持ち出す人が多いが、これはきわめて巧妙な詐欺だ。つまり放射性カリウムは昔からあるのでセシウムは怖くないという巧妙な嘘だ。しかしこれは自然放射線と人口放射線の違いについて検討されていないし、追加の蓄積についても検討されていないし、放射性物質の変化についても検討されていない。カリウムは人体に必須のミネラルで、自然界のカリウムの0.01%は放射性カリウム40である。大人は一日に平均して3g程度のカリウムを摂取しているが、そうするとカリウム40は90~100ベクレル程度である。カリウムの生物学的半減期は30日だが、ずっと循環しているため体内にはずっと蓄積している。このカリウムがもたらす人体被爆の概算は年間で0.2~0.3ミリシーベルト程度である。カリウム40はもともと自然界にあり人類はそれに適応してきた歴史があるが、セシウムと比べても単純に被曝量が違うし(セシウムはカリウムに比べて2倍から3倍の被曝する)放射線を出す頻度も違うし、人口放射性物質の内部被爆では特定の内臓(肝臓、骨、腎臓、性腺や子宮、)に被爆が集中しやすくなる。また、重要なことは自然界のカリウムに含まれている放射性カリウム40の比率は0.01%だが、現状の汚染された状態ではセシウムはカリウムと間違えられるため、放射性物質の率を1万分の1以上に上昇させてしまっている。つまりセシウムはカリウムよりもはるかに危険なのだ。
さらに盲点なのに問題だと思われるのがキセノンである。キセノンは希ガス化してほとんど吸収されないといわれるが、それでもすべてではない。キセノンの問題はすべての放射性物質の中で最も放出量が多く(セシウムの数百倍)、沸点が低いので揮発化して広がりやすいということだ。キセノンが壊変するとセシウム(放射性物質ではないセシウム)になるが、これもまたほかの物質とくっつくことで毒性を発揮する(たとえば水酸化セシウムなど)。

ヨウ素は爆発当初にもっとも注目された放射性物質である。実際、その当時は大気中にはヨウ素の放出量が多かった。放射線の強さが半分になることを「半減期」というが、ヨウ素の半減期は8日間である。全体の線量はヨウ素については下がっている。ヨウ素は甲状腺にたまりやすく、甲状腺の組織を破壊してガン化しやすいのが問題視されている。2014年2月には福島県民の被曝症状などを調査している「県民健康管理調査」で、小児の甲状腺癌が激増しており、チェルノブイリの経過と同じく今後さらに癌などが増えていくことが予想される。最新のデータについては○○ページなども参照していただきたい。またヨウ素は揮発性が高く拡散しやすいので、きわめて憂慮すべき放射性物質なのだが、半減期が短いこともあり最近あまり話題に出なくなってきた。被曝によって甲状腺ガンを発症する危険性は、年齢が高くなるにつれて減少すると考えられているようだが、単一的な素因で考えること自体に問題がある。一番の問題は疫学や統計学的に証明することが困難なことだが、これを御用学者や政治家や官僚は知っていてうまく使っていることに気付かねばならない。彼らの嘘に対抗するには、放射能物理学だけでいちいち対応しても意味がないことを考えねばならない。

ヨウ素は胎児に対する危険性が指摘されている。ヨウ素を使った医療検査においても避妊が推奨され、6カ月妊娠を避けるよう警告されている。ヨウ素は尿や汗から解毒しやすい放射能物質なので(逆に言うとそこから出てきやすいので)、放射性ヨウ素で治療を受けた患者が使用するトイレ・流し・ベッドのシーツ・衣服をいつも綺麗にしておくことまで推奨されているのだ。妊婦は受けさせないようにと公式文章で警告されるほどの物質が、いまや日本では当たり前のように汚染され広がっている。チェルノブイリでは、事後の9年後に子ども達の甲状腺ガンの発生率がピークに達しているというデータがある。またテルルという放射性物質も一部壊変してヨウ素の放射性物質になるので、ヨウ素だけの問題ではないのも押さえておく必要がある。

トリチウムとは三重水素のことで水素の同位体の1つである。自然界ではほとんどは酸化物である三重水素水、トリチウム水HTOとして存在する。この意味が分かる人はいったいどれくらいいるだろうか。単体でいえばこのトリチウムは毒性が薄く、弱いβ線を出して崩壊する。ただ、違う意味でこのトリチウムは最も危険な放射性物質であるという考え方も成立する。トリチウムというのは極論すれば水素であり、自然界ではトリチウム入り水が一番多いわけで、次に多いのがトリチウムが普通の水に溶け込んだものだ。生物の中で最も数が多いのは水素原子と炭素原子と酸素原子であり、つまり人体の中ですべてに影響を与える物質といえる。毒性は弱いが様々な解毒方法をとってももっとも防ぎにくく、種々の場所に入り込んでくることを考えればその怖さがわかる。たとえとしてはストロンチウムやプルトニウムを大砲のような兵器とするなら、トリチウムは散弾銃や機関銃のようなものと考えればよい。どちらも嫌だとしか思えないであろう。トリチウムは基本的な化学で考えれば汚染水から除去することはできない。なぜなら水であり水分子だからだ。唯一放射能を除去すると言われている逆浸透膜型の浄水器でも、トリチウムは除去することができない。半減期も長く12年少しであり藻類、海草、甲殻類、そして魚などの水生生物に集中して蓄積される。トリチウムは脳腫瘍、赤ちゃんの先天性奇形、多くの臓器でのガンだけでなく、その他普遍的な問題を起こす。

これら以外にも多くの放射性物質が存在するが、それらに汚染されているのが今の日本だということをまず押さえなくてはならない。

内海聡氏のFacebookより

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