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米国がトランス脂肪酸の全面禁止、日本は「影響少ない」と恣意的判断

12.12.2013 · Posted in food

トランス脂肪酸に対し、米国のFDAは、11月7日に規制強化を打ち出した。

一方日本は、米国に比べて、日本人の摂取量は少ないと恣意的な判断で、野放し状態。

日本生協連は、10%以上も含むマーガリンを未だに販売し、ファーストフードでは、モスバーガーやロッテリアが率先して改善したのに対し、日本マクドナルドだけはポテトの揚げ油に、トランス脂肪酸を含むショートニングを使い続けている。

マーガリンやショートニングに含まれるトランス脂肪酸を摂取すると心臓疾患の一つである冠動脈疾患のリスクを上げることが確認されていて、世界各国で規制の取り組みが進められている。

●米国で禁止のトランス脂肪酸 国内ワーストマーガリンは日本生協連、ファストフードのワーストはマクドナルド
植田武智

http://www.mynewsjapan.com/reports/1935

01:12 12/02 2013

 
 米国が新たにトランス脂肪酸の全面禁止へ乗り出す一方で、日本は表示も規制もない野放し状態が続く。直近5年の家庭用マーガリンを調査すると、企業によって、その含有量に大きな違いが見えた。J-オイルミルズはマーガリン製造段階のトランス脂肪酸発生をゼロにし、最終製品でも1%前後と少量を達成。一方、日本生活協同組合連合会『コーンソフト』のように2008年と比べまったく低減せず、いまだ10%超の商品も。この日生協マーガリンは、毎朝パンに塗る量だけで平均摂取量の2倍近く摂ってしまう。外食ではファストフードのフライドポテト揚げ油で、モスバーガーやロッテリアが率先して改善したのに対し、日本マクドナルドだけは頑なにトランス脂肪酸を含むショートニングを使い続ける。日本では表示義務がないため、心疾患に不安のある人は、本稿を参考に消費行動することで自衛していただきたい。

【Digest】
◇アメリカで全面禁止検討へ
◇「影響は小さい」と恣意的判断下す日本
◇「マーガリン製造時のトランス脂肪酸はゼロ」Jオイルミルズ
◇5年前から改善が見られない日生協
◇ファストフードのワースト1位はマック、2位はKFC
(アメリカの新しい規制案の詳細がわかる日本語翻訳資料付き)

◇アメリカで全面禁止検討へ
 アメリカの食品医薬品庁(FDA)が11月7日に、食品中のトランス脂肪酸についてさらに規制を強化する案を発表した。

 トランス脂肪酸とは、マーガリンやショートニングなどの原材料となる「部分的水素添加油」を製造する際に一部不純物として発生する脂肪酸だ。本来常温では液体である植物油を、マーガリンなどの固形に加工するために水素添加する過程で発生してしまう。摂取すると心臓疾患の一つである冠動脈疾患のリスクを上げることが確認されていて、世界各国で規制の取り組みが進められている。

 世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量の目安として1日の総エネルギー摂取量の1%以下にすべきだと勧告している。1日のエネルギー摂取量を1800kcalだとすると1%は18kcal、脂肪だと2g相当となる。

 ただ1日2g以下なら安全ということではない。トランス脂肪酸自体は必須栄養素でもないため摂取量ゼロが望ましい。しかし一方で必須脂肪酸などの栄養素の不純物として存在するため、そうした栄養素の摂取が欠乏しない範囲でできるだけ低くすべきであるというのがWHOやEU、アメリカなどの食品行政機関での一致した意見だ。

 アメリカではこれまでに、栄養成分表示の中にトランス脂肪酸の表示を義務づけるなどの措置をとってきた。

 またカリフォルニア州やニューヨーク市など一部の自治体では、レストランなど外食産業に対して、一食当たり0.5g以上のトランス脂肪酸の使用を禁止する規制などを行ってきた。

 それらの規制の結果、アメリカ人の平均的なトランス脂肪酸の摂取量は劇的に減り、1998年段階で5.3g/日(摂取総エネルギー比で2.6%)だったものが、2011年の調査では1.3g/日(エネルギー比で0.6%)にまで減少した。

 アメリカでもすでにWHOの勧告値であるエネルギー比1%以下はクリアしたわけだが、FDAはさらに摂取量ゼロに向けて、新たな規制強化を勧めようとしている。

 現状のアメリカの栄養成分表示ルールやレストランの規制では、トランス脂肪酸が1食分あたり0.5g以下の食品については0gと表示できる。つまり気を付けて0g表示ものを選んでも最大0.5gとってしまう可能性が残っている。

 それが1日3食となると最大1.5gまでは摂取してしまう可能性があることになる。平均摂取量が1.3gということは大体そのレベルにまでは下がってきたとも判断できる。

 そこで今回FDAは提案してきた新しい規制が、人工的なトランス脂肪酸の発生源ともいえる「部分的水素添加油」を食品添加物とみなして、使用禁止にしようという案だ。

 ちなみにこの「部分的水素添加油」(日本では硬化油)は、日本ではマーガリンなどの原材料表示の中で「食用精製加工油脂」と表示されていて、食品添加物ではなく食品成分扱いだ。

 FDAの規制案の内容については、FDAが11月7日に発表した「トランス脂肪酸に関するQ&A」にわかりやすく書いてある。といっても英語なのだが、全文日本語訳したPDFファイルを、最後につけておいたのでぜひ読んでみてもらいたい。

 現在アメリカではこのFDAの規制案について60日間のパブリックコメントを募集中だ。アメリカは日本と違って産業界の圧力が強いため、このFDAの案がそのまま採用されるかどうかは不透明だ。2014年1月まで予断を許さない。

◇「影響は小さい」と恣意的判断下す日本
 一方日本では、食品安全委員会が2013年に出した評価書によれば、平均摂取量は、1日当たり0.6g(エネルギー比0.31%)で、海外と比べても低く、健康への影響は小さいと考えられると判断されている。

 この評価書をもとに判断すれば、日本人の平均摂取量は、2011年の段階のアメリカ人の摂取量の半分だと言える。  しかし先にも書いたが、摂取量が少ないから安全とは言い切れるか不明だ。アメリカは、ヒトでの疫学情報をもとに、現在の摂取量をさらに減らすことで、年間に冠動脈性心疾患(CHD)の2万人の発症と7000人の死亡を防ぐことができると分析している。

 アメリカの分析が正しいとすれば、日本でもさらに摂取量を減らせば、それなりの疾病リスクの低減効果があることになる。

 食品中の放射能リスクと同じような話だが、アメリカではリスクを数字で示し判断しようとしているのに対して、日本では「影響は小さい」と恣意的判断が下されているように見える。

 結局日本では、食品中のトランス脂肪酸については基準値も設定されておらず、表示の義務もない。すべて企業の自主努力任せになっている。

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